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Joan Cornellà インタビュー:ユーモアとブラックコメディを織り交ぜたコミックを描くスペインの漫画家/イラストレーター

2017.12.01

Facebookのタイムラインに流れてくるユーモアなブラックコメディを交えた風刺漫画をあなたは見たことがあるだろうか。ポップな色使い、笑みを浮かべた登場人物とは裏腹にダークな笑いを誘う風刺漫画で知られるJoan Cornellà(ジュアン・コルネラ)。12月1日から始まる日本初となる個展 ”Joan Cornella Japan Solo Exhibition 2017” にあわせ来日した彼に、彼がコミックに込める思いを聞いてみた。

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僕の作品はどちらかというとフィクションと関係していて、実世界とそこまで直結しているわけじゃない

――――まず最初に、バックグラウンドを教えてください。バルセロナで生まれ育ったんですよね。どのような環境で育ちましたか?

「生まれたのはバルセロナだけど、バルセロナ近郊の街で暮らして育ったよ。ただバルセロナには絵の勉強をしに行ったり、仕事もバルセロナでしているから、生活の一部だね。バルセロナの学校ではファインアートを学んだけど、そこで学んだものが僕のバックグラウンドと言えるかな」

――――バルセロナという都市はあなたの作品に影響を与えていますか?

「作品とバルセロナのつながりや影響は考えたことがなかったな。僕が今まで描いてきたものが周囲の環境となにか関連があるということはないと思う。僕の作品はどちらかというとフィクションと関係していて、実世界とそこまで直結しているわけじゃないから。今のスタイルで絵を描くまでは全く違う絵を描いていたけど、自分の環境と直接繋がりがあるものを描いてきたことはなかったな」

――――では、幼い頃からコミックや風刺的なものが好きでしたか?

「今と同じ様に、アンダーグラウンドなコミックは好きだった。だけど芸術を勉強し始めてからは、芸術という分野の中で学ぶ対象としては、そういうアンダーグラウンドなものに対する興味は失っていったな」

――――今のようなコミックを描き始めたきっかけはありますか?

「芸術を勉強している間は他の選択肢も考えてたよ。コンセプチュアルアートに興味があったけど、コンセプチュアルアートのアートシーンは思った以上に気取っていて、コミックの方がお高くとまっていなくていいなと思った。コミックを描き始めてすぐ、2009年に初めての本”Abulio”で賞を取ることができて、そのおかげでその後もコミックの仕事をできるようになったんだ」

――――普段どんなものからインスピレーションを得ていますか?

「僕自身色んなことに興味があるけど、特に自分のやっているユーモアに関しては、スタンダップコメディやコントのような、文字やテキストはなくてビジュアルなものからインスピレーションを得ているね」

Recco

僕は、僕がやっていることを生で見てもらいたい。どんな所でも有効なもの、面白がってもらえるものを作ろうとしているんだ。

 

――――今回、東京で日本初の個展開催になりますね。

「東京は10年くらい前に旅行で1ヶ月いたことがあるけど、確かに今回は日本で初めての展覧会になるね。今年はミュージシャンのツアーみたいに毎月どこかで展示をするようにしているから東京にも来てみようと思ったんだ。

実は僕の作品に対して一番反応がいいのはアジアなんだ。今まで他のアジアの都市では展覧会をやったことがあるし、周りの人は日本でもウケるはずだというけど、まだ分からないね。

というのも、僕の仕事場はほとんどソーシャルネットワークの中にあると言えるんだけど、日本では他の国ほどFacebookが使われていないと聞いたことがあるので、自分のファンがどれくらい日本にいるか分からないまま来たんだ。これは他の場所の個展ではあまりないことだね」

――――作品作りの今後のビジョンを教えてください。

「僕がやっているのは展示会を色々なところに持っていくことで、今回も、東京のための特別な展示会をするわけではなくて、僕の作品を東京に持ってきただけなんだ。時々、ある特定の場所のための特別な作品を作ろうと考えることはあるけどやったことはないね。

僕は、僕がやっていることを生で見てもらいたい。どんな所でも有効なもの、面白がってもらえるものを作ろうとしているんだ。ある特定の場所のための作品はあってもいいと思うけど、それは結局その場所にないと意味がないからね」

――――確かにあなたは『エル・フエベス』(”El Jueves”:週刊木曜日)のようなスペインの風刺雑誌でも作品を描いていて、これはスペインでしかウケないものだと思いますが、今回東京に持ってきたものはより普遍的な作品ですね。

「実際『エル・フエベス』で仕事をした時は、僕がやりたいような自由があるようにはあまり思えなかったんだ。ある特定の場所(スペイン)、そして特定の雑誌(『エル・フエベス』)の為の特別な作品を描いていたし、スタッフは僕が笑いというものにどう取り組めばいいか指示を出してきたからね。

でもそうではなくて、今回みたいにより幅広い層のオーディエンスに作品を見せるチャンスが巡ってきた時には、特別な場所に向けた特別な作品を作る必要はないと思っているし、より多くの人に関心を持ってもらえるものを作る方が大事だと思っている。」

BOOTYBOOP

 

Joan Cornellà/ジュアン・コルネラ

スペインの漫画家、イラストレーター。ユーモアなブラックコメディを交えた風刺漫画の作家で知られる。2016 年9 月には、アメリカのバンド、 WILCO のリリースしたアルバム「SHUMILCO」のアートワークを手掛けている。

HP http://joancornella.net
Instagram https://www.instagram.com/sirjoancornella/
Facebook https://www.facebook.com/joancornella/

【展覧会開催概要】

タイトル:Joan Cornellà Japan Solo Exhibition 2017

開催期間:12 月1 日(金)〜12 月10 日(日) 11:00〜20:00 ※最終入館は19:30まで

会場:T-ART HALL(東京都品川区東品川2 丁目6-10 寺田倉庫D エントランス)

チケット、その他詳細:INDIE ASIA

 

Translator: Taca Weno

writer: Atelier506