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大山エンリコイサム インタビュー:開催中の個展「VIRAL」で聞いたライブ・ペインティングを続ける理由

2019.06.17

ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、大山エンリコイサムが現在、山梨の中村キース・へリング美術館にて、個展「VIRAL」を開催している。大山と言えば、エアロゾル・ライティング(グラフィティ)の、特に70~80年代によくかかれた動きのあるレターの再解釈ともいえる独自の表現「クイック・ターン・ストラクチャー」が知られているが、本個展ではその「クイック・ターン・ストラクチャー」の作品の中でも中心を担う絵画に加え、過去の作品とシークエンスをなす新作が展示されている。個展初日の5月18日(土)には、ギャラリートークとライブペインティングを実施。パフォーマンスを終えた作家に話を聞いた。

————キース・へリングの東京滞在時の記録写真のコラージュの上に「クイックターン・ストラクチャー」を描いた通路の作品が面白かったです。細長い通路なので、引きで全体像が見えないので、通路を通りながら見て、目でスキャニングして頭の中で再構築する感じが面白かったです。なんとなくですが、頭の中で3Dとなって再構築される感じもしました。

「エアロゾル・ライティングって電車の窓から外を見るとあったりするじゃないですか。一瞬で過ぎ去ってしまうから、風景をスキャンする感じで目を凝らしてキャッチするというか。動体視力みたいのに近いかもしれないですね」

————大山さんはアメリカを拠点に活動されていますが、アメリカと日本では評価される作品の違いは顕著にありますか?

「それほど違いがあるとは思いませんが、アメリカだと美術館や大学付属のギャラリー、研究者のシンポジウムに呼ばれたり、アカデミックなコンテクストの機会が多めかもしれません」

————大山さんはご自分で批評家もされてますが、自分で自分を批評してしまうとか。または、どう批評されるかを考えてしまうとか。何か葛藤のようなものはありますか?

「葛藤はないですね。僕にとっては文章も自己表現です。自分の身体や頭から出てくることを、言語で表現するか、視覚的に表現するかの違いはありますけど、両者とも根っこは同じだと思います」

———ライブペインティングを拝見しました。下絵がないライブペインティングで、「自身のフォーマットはあるけども、最終的な形は特に決めていない」とおっしゃってました。「自転車を漕いでいる時に似てる」とも言っていましたが、意図的な思考がなく無意識な感情が作品に映し出されているのでしょうか? または、自転車に乗っている時は、時には無意識に手を離してみたり、いつもと違う道を選んでみたり実験的なことをする時もあると思うのですが、どちらの状態に近いですか?

「自転車の例を出したのは、頭で考えて計画するのではなく、身体で覚えている言語のようなものを使ってかいているという意味でした。ただライブなので、やはり想定外のことも起こります。その場の判断で、それをプロセスに取り入れたりもします。僕にとってスタジオの制作とライブ・ペインティングは別ものでもあり、相互にフィードバックするものでもあるんです。スタジオで新しく使った画材がライブでも使えるとなったり、その逆であったり」

————その相互のフィードバックのためには、ライブ・ペインティングの活動は必須という感じですか?

「必須というよりは、ライブ・ペインティングはずっとやっているので」

————今日のライブ・ペインティングはどうでしたか? 自然に囲まれた中だったので、木々が揺れる音ととても良い具合に調和していたというか。

「音楽をかける案もありましたが、ご覧の通り自然に囲まれているので。かいている時は木々の音には気がつかなかったですけどね。でも、そういう風に見てもらえてよかったです」

 

【開催概要】

タイトル : 大山エンリコイサム個展「VIRAL ヴァイラル」

会 期 : 2019 年 5 月 18 日(土)~2019 年 11 月 17 日(日)

開館時間 : 午前 9 時~午後 5 時

休 館 日 : 会期中無休

会場 : 中村キース・ヘリング美術館
(408-0044 山梨県北杜市小淵沢町10249-7
)

入 場 料 : 大人 ¥1,200、16歳以上の高校・専門・大学生 ¥600、15 歳以下 無料、障がい者手帳のご提示 ¥600、 団体(20 名様以上)¥1,000 ※要予約

 

writer: Atsuko Matsuda