Justin Lovato & Leansインタビュー:カリフォルニアとブリスベンに住む2人のアーティストによる光と自然の精霊との神秘的な相互作用を探求したデュオ展が、5月17日より原宿で開催!
2024.05.12
カリフォルニアを拠点に活動しているJustin Lovato(ジャスティン・ロヴァート)と、オーストラリアのブリスベンを拠点に活動しているLeans(リーンズ)の2人のデュオ・エキシビションが、5月17日(金)よりtHE GALLERY HARAJUKUにて始まる。7,200km以上離れた場所に住む二人の共通のバックグラウンドはグラフィティ。2人のこれまでの道のりや初の東京でのエキシビションについて話を聞いた。
――まずは自己紹介からお願いします。出身地とアートの制作を始めたきっかけを教えてください。
リーンズ(以下L)「僕は今ここにいる家で生まれた(笑)。この部屋は、ずっと両親が他の人に貸していたのだけど、今は僕がスタジオのスペースを借りているんだ。オーストラリアのブリスベン出身で、グラフィティとスケートボードをきっかけにアートの制作を始めたんだ。16, 17歳くらいの時かな。最初は友達のミューラルアーティストのDraple(ドラップル)にグラフィティの描き方を教えてもらった。彼はその時すでにお金をもらってミューラルを描いていたんだよね。最初はグラフィティのアーティストに影響を受けたけど、今は村上隆も好きだし、KAWSも好きだよ」
ジャスティン(以下J)「サクラメント出身で、子供の頃からよく絵を描いていた。父親が趣味で絵を描いていたからね。10代の頃は僕もグラフィティにハマっていたよ。サクラメントはサンフランシスコから車で1時間半だから、バリー・マッギーとか、90年代のサンフランシスコのストリートアートにすごく影響を受けた。そのあと、ガールフレンドがバークリーの大学に入ったから、自分もそこに引っ越して、アートショウにたくさん通ったよ。サイケデリックアートやオプティカルのグラフィックや騙し絵のパターンなどで知られるM.C.エッシャーやブリジット・ライリーに影響を受けた。あとは、生物や植物のスケッチで知られるエルンスト・ヘッケルにもね。日本のアーティストで好きなのは、村上隆、田名網敬一だね」
――ジャスティンはサイケデリックアートの影響を受けているとのことですが、サンフランシスコ近郊の出身と聞いたので、もしかして、コミューンで生まれ育ったのかなと?
J「笑。違うね。僕の息子が今、そんな感じだよ。裸で歩き回ってるよ(笑)」
――2人はオーストラリアとカリフォルニアととても離れた場所に住んでいますが、出会ったきっかけは?
J「僕たちの共通の知り合いのギャラリストのブライアン・チェンバースを通して知り合った。彼は僕と同じ地域に住んでいて、サイケデリックアートのギャラリーを経営している」
L「2018年に僕がブライアンのギャラリーで個展をした時にジャスティンと会って、その後も何回か顔を合わせる機会があったんだ。僕がシアトルで絵を描く仕事があった時に、シアトルにも来てくれたしね。2022年にもブライアンの新しいギャラリーで個展を開くことになって、その時もジャスティンに会ったよ」
J「僕たちはいい友達になったよ」
――お互いの作品を見て最初にどんな印象を持ちましたか?
J「色使いと彼の職人気質にひかれたね。僕たちは共通するものがあるっていうか。あとは、僕たち2人とも漫画っぽさも取り入れているところが似てるんじゃないかなと」
L「色の選び方が似てるよね。パステルカラーの空とか夕陽とか」
――ジャスティンは地元のGrass Valleyのプロジェクトで大きなミューラルを描いていますよね。日本は規制が厳しくて、ミューラルを描く場所がなく、なかなかグラフィティカルチャーが一般の人たちには知られていません。Grass Valleyのプロジェクトは地域にどんないい影響を及ぼしていますか?
J「中心地にミューラルがあって、街の一部になっているよ。カップルとかたくさんの人がミューラルの前で写真を撮っている。ネバダはカリフォルニアの中で一番古いビルがあったり、観光地でもあるんだ。やって来た子供たちと話をしたりして、ポジティブな感じだよ。余談だけど、日本人のミューラルアーティストでは、スナイプが好きなんだ」
――ブリスベンにはオフィシャルで描ける壁はありますか?
L「ブリスベンには大きな川が流れていて、そこにとても長い壁があるんだけど、市がそこをオフィシャルにグラフィティが描ける場所にしたんだ。許可されて1年になるんだけど、まだ僕は描きに行ってないんだよね。若いアーティストがスキルを高める練習をすることができて良いと思う。最近、僕の友達がPeace for Peace Dayっていう世界平和デーに合わせてグラフィティを描くイベントをやって、みんなが平和に関連したグラフィティを描いて、それはとてもポジティブでいいと思ったね」
――2人の性格の似ているところは?
L「僕たちはハンサムっていうところかな(笑)」
J「笑いのツボかな。あとは、何事にも過度にシリアスにならないこと」
L「あとは、自分勝手なところかな。でも、僕たちはよく働くよ」
J「僕は新しいスキルを学ぶのが好き」
――東京での2人のデュオ・エキシビションが5月17日に始まりますが、東京で展示するアイディアはどちらが先に思いついたのですか?
J「YONE(米原康正)のギャラリーのインスタグラムをフォローしてて、いいギャラリーだし、個展をやらせて欲しいって去年連絡をしたんだ。それをSamに話して、コラボレーションの作品を作ろうってことになって。それで、話していくうちに、どうせならデュオエキシビションにしようってことになったんだ。友達と一緒にやるのは楽しいよね。何ヶ月か前にYONEがLAで展示をやった時に会いに行きたかったんだけど、都合が合わなくて会えなくて残念だった」
――エキシビションのタイトルとコンセプトを教えてください。
J「”Light Beings(光生命体)”だよ。サム(リーンズの本名)がライトをテーマにしようって言い出したんだ。僕たち2人の大きなテーマでもあるからね」
L「今、ライトをエネルギー源にしているキャラクターたちのストーリーと絵を描いているんだ。それもあってね」
――2人の共作はいくつあるのですか?
J「2作品だよ。その他はソロの作品。あと、僕は日本のタイダイのアーティストとコラボしている。僕の作品をベースにタイダイのタペストリーを作ってくれたんだ」
――ソロの作品はいくつくらい展示するのですか?
J「ポストカードくらいのサイズを25点ともう少し大きいのを3作品展示する予定だよ。あとは、さっき言った、タイダイアーティストとのコラボとサムとのコラボを2点」
L「僕も25点の絵を展示して、あとは、立体を5点かな。2点を3Dプリンターで作って、3点を木で作っているんだ。立体は僕の新しいスタイルだから、ぜひ見てもらいたいよ」
――日本で会ってみたいアーティストはいますか?
J「コラボしたタイダイアーティストも来てくれる予定だから楽しみだね」
L「YONEのギャラリーで個展をしているような若いアーティストたちに会いたいね。ジャスティンと一緒に色々回りたいと思ってる」
――アート以外で、何か楽しみにしていることはありますか? 何かしたいことはありますか?
J「東京の地下の放水路を見てみたいね。あとはお寺にも行きたい。スカイツリーにも登りたいね」
L「ビンテージトイと服を見に行きたい。変なものをいろいろ買いたい(笑)。いま、自分が住んでいるところと全く違う場所だと思うから、本当に楽しみだよ。チームラボも行きたいから、日本に行く前に予約しないとだよね?」
【プロフィール】
Justin Lovato
1986年、北カリフォルニア生まれ。オプティカル・アートからシュルレアリスムまでの影響を取り入れ、
自然界に見られる最も純粋な芸術形態-パターン、植物の成長の分岐する比率、または光が渦巻く夕焼け空を作り出す雲-などからインスピレーションを得た題材で、境界を押し広げる作品を制作している。カリフォルニア州のサンノゼ・インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アートをはじめ、全米の数多くのギャラリーで展示を開催し、『Hi-Fructose』、『Juxtapoz』、『Booooom』、『Grafitti Art』誌など、オンラインや印刷物のメディアでも紹介されている。
Instagram : https://www.instagram.com/justinlovatoart
Leans
オーストラリア生まれ。作家名をリーンズとして知られるサム・ウィルキンソンは、油絵、エアブラシ、木彫、製品デザイン、壁画制作などを手がける学際的アーティストである。彼は、セラピー、自己表現、継続的な学習のツールとしてのアートの力を信じ、その技術と実験の重要性を強調している。彼にとって、アート制作は日記をつけるようなものであり、多様なアートの実践を通して自分の成長と経験を記録している。
Instagram : https://www.instagram.com/ontheleans
【開催概要】
タイトル:Justin Lovato & Leans Exhibition “光生命体 Light Beings”
会期:2024年5月17日(金)~5月26日(日) 11:00~19:00 *休廊 月・火曜日
writer: Atsuko Matsuda