中村キース・へリング美術館にてブルックリンを拠点に活動するアーティスト 大山エンリコイサムが個展が5月18日より開催
2019.04.09
Enrico Isamu Ōyama, FFIGURATI #184, 2019 / Artwork © Enrico Isamu Ōyama / Photo © Suguru Ikeda
1983 年イタリア人の父と日本人の母のもとに東京で生まれました大山エンリコイサム。エアロゾル塗料で都市の地下鉄や壁に名前 をかくエアロゾル・ライティング(グラフィティ)の文化に影響を受け、2012 年より渡米。大山のアートは、ライティング の視覚言語から文字を取り除き、線の動きのみを抽出し、反復・拡張させた「クイックターン・ストラクチャー」という モティーフを軸としている。これまで世界各地で壁画制作や個展を開催するほか、著書『アゲインスト・リテラシー ─グラフィティ文化論』(LIXIL 出版、2015 年)の刊行やコム・デ・ギャルソン、シュウ ウエムラとコラボレーション するなど、多角的に活動を続けている。
本展のタイトル「VIRAL ヴァイラル」について大山は「コンピュータ・ウィルスという言い方には「感染」というネガティヴ な含意があるのに対し、SNS などでいうヴァイラルは「拡散」や「急速」といった運動や速度のイメージと結びつき、 さらには共有され、ポピュラーになるというポジティヴなニュアンスすら帯びています。クラウドやモバイルのコンピュー ティングが普及し、デジタルを取り巻く想像力の拠点が、身体を連想させるマシン=ハードウェアから、自然環境を連想 させるサービスやアプリケーション、プラットフォームなどのソフトウェアに移行した現代、ヴァイラルという表現もまた、 人体に侵入し危害を加える否定的なものから、(人工)自然のなかで繁殖する生命力や自己組織的な生成力といった肯定的 なものにコノテーションが変化しつつあります」「ウィルスの脅威を、ヴァイラルの繁殖や拡散という力の生成に読み替え、 さらにそれをヴァイタルという生命そのものの活力として捉え直すこと」と述べている。
本展は大山の多岐におよぶ「クイックターン・ストラクチャー」作品のなかでも中心を担う絵画をメインに構成され、同時にモノクロームの階調や スケール、画面構成、テクスチャやレイヤリングといった技法においてバラエティに富む作風が選定さている。とくに 美術館内自由の回廊に展開されるサイトスペシフィックな壁画作品は、キース・ヘリングの東京における記録写真の上に 施され、本展のために制作されたハイライトになる新作である。 クイックターン・ストラクチャーは多様なメディアに展開・適応できるヴァイラルなアイコンだと作家は言う。 環境や文脈が変化しても、それらと対話しつつ同一性を保つことのできる強固なアイデンディティ。持続する制作と作品の空間において、それは自らの生を生きていると本人が述べる大山のアートと、キース・ヘリングの作品群にも一貫する 繁殖するドローイングの生命力が、時空を超えて融合する。
【大山エンリコイサム プロフィール】
アーティスト。エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈しモティーフ 「クイックターン・ストラクチャー」をベースに壁画やペインティングを発表し、現代美術の領域で注目を集める。1983年東京生まれ。
オフィシャルサイト: https://enricoisamuoyama.net
Instagram : @enricoisamuoyama
Twitter : @enrico_i_oyama
Vimeo : @enricoisamuoyama
【開催概要】
タイトル : 大山エンリコイサム個展「VIRAL ヴァイラル」
会 期 : 2019 年 5 月 18 日(土)~2019 年 11 月 17 日(日)
開館時間 : 午前 9 時~午後 5 時
休 館 日 : 会期中無休
会場 : 中村キース・ヘリング美術館
(408-0044 山梨県北杜市小淵沢町10249-7
)
入 場 料 : 大人 ¥1,200、16歳以上の高校・専門・大学生 ¥600、15 歳以下 無料、障がい者手帳のご提示 ¥600、 団体(20 名様以上)¥1,000 ※要予約
協 力 : Takuro Someya Contemporary Art、シミックホールディングス株式会社