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The Producer × FLORE インタビュー:Who’s next?

2017.05.09

実在するセレブやミュージシャンなどのアイコンたちをモチーフにした作品で知られ、LAを拠点に世界を駆け回るThe Producer BDB(ザ・プロデューサーBDB)と、重ねたポストイットを連想させるレクタングルモチーフとそこに記されたキーワードやメッセージが特徴的なNY出身のFLORE(フローリー)がお台場のGALLERY21で開催された『お台場グラフィティアート展 “Who’s Next ? ~Banksyを目指すNext Generations〜』のために来日。コラボレーション作品も評価が高いストリート・アート・シーンの次世代2人に、エキシビション初日のギャラリーでインタビュー。

————The Producerさんは2回目の来日かと思いますが、前回初めて来た印象は?

The Producer「平和な感じがした。リラックスっていうか。前回は1ヶ月滞在したんだ。食事も美味しいし、とても居心地がよかったよ」

————日本に来て何か変わったことはありますか?

The Producer「我慢強くなったかな。感情的にならず、リラックスするようになった」

————禅の境地的な?

The Producer「そうそう! ZENだよ」

————The Producerさんは、日本人の血が入っているのですよね?

The Producer「父親側の祖母が日本人だよ。そんなに近い関係ではなかったんだけど、日本に来て親近感を感じているよ」

————FLOREさんは日本は初めてでしょうか? 実際に来てみてどうですか?

FLORE「3日前に日本に着いたんだ。オレはNY生まれだから、ごみごみして騒がしい街に慣れているんだけど、東京はもっと大きい街だね。大きいんだけど、静かっていうか。例えば、NYの地下鉄はパフォーマンスしてる人がいたらり、うるさくてジャングルみたいだけど、東京の地下鉄はみんな静かに歩いていて礼儀正しいしいよね。着いてすぐ感じたよ。密集してて大きいんだけど、新しくてキレイだと思う。日本のカルチャーは最新のテクノロジーを使うのが好きなのかなって思うよ。建築もイマドキだし。NYは古い街だよね。東京はすべてが新しくて、新しい街って感じのフレッシュなエネルギーを感じるよ」

オレもユニークだし、彼もユニークだから、2人でやるともっとユニークになる

————東京は、来る前に想像していたのと違いましたか?

FLORE「どこか知らない都市に行く時は、あまりその前に想像したりしないんだ。偏見を持たないようにしている。でも、日本人は凄く親切っていうのは聞いてたよ。そこがアメリカのカルチャーと日本のカルチャーの大きな違いだね。カスタマーサービスとかそういうところでも分かるよ。とても気持ちがいいよね」

————気になるストリートアートには出会いましたか?

FLORE「うん、あまり見かけないよね。NYだとどこにでもあるけど。日本はキレイだからね」

————2人が出会ったきっかけは?

FLORE「3年前にLAのショウで会ったんだ。グループ・ショーだったんだけど、それからずっと友達だよ」

The Producer「マイアミのアートバーゼルで会う約束したり、マイアミのストリートで一緒に描いたり」

FLORE「それから、キャンバスの上でもコラボレーションするようになって、凄くいい友達になったんだ。家族って言っても過言じゃないね」

————コラボレーションの作品はどのように制作するのですか?   コンセプトを決めたり、制作手順などのプロセスを教えてください。

The Producer「自然な流れでやってるね。オレがスポック(スタートラックのキャラクター)を描いて、その周りにフローリーが何か描いたり… 2人で制作すると全く別のアーティストになるんだよね。オレもユニークだし、彼もユニークだから、2人でやるともっとユニークになる」

FLORE「2人でやる利点もあって、彼があるギャラリーで個展をしていて、オレが別のところで個展をしていたとしても、コラボレーションして別のアーティストとして、他のギャラリーで個展をすることができるんだよね。同じ都市で2ヶ所のギャラリーで作品を展示するのを嫌がるギャラリーもいるんだ。だけど、コラボレーションの作品だったら、別のアーティストとして展示してくれるんだ」

————お互いに相手をどのように評価してますか?

FLORE「オレたちは全く反対なんだ。彼はいつもレイドバックしていて、オレはずけずけとモノを言うタイプ。オレはイーストコースト出身で、彼はLA出身だからね。喧嘩もほとんどしたことがないよ。言い合いすらね。オレはクレイジーで彼はいつもチルな性格で、オレを落ち着かせてくれるんだ」

アジアのアートのマーケットも大きくなってるよ。日本のシーンも大きくなっているんじゃないかな。

————今回のショウのために新たに制作しましたか?

FLORE「1つ制作したよ(*2人が写っている写真の作品)。普段は等身大くらいの大きさで作るんだ。でも、ほとんど売れてしまって、あと、1、2作品どこかで売られているんじゃないかな。みんなオレたちの大きいサイズの作品が好きみたいなんだ」

————コラボ作品の制作には、通常どのくらい時間がかかりますか?

The Producer「一緒にやる時は凄く生産的だよ。他のアーティストと一緒だとモーティベーションがあがるんだ。彼は凄く早いし。オレのテンポを早めてくれる。だから、オレたちは早く効率的に制作しているよ」

FLORE「オレが最初に取りかかって、彼が完成させるって感じなんだ。オレがやっていることを彼がさらに進めて、また、その逆もあって、でも、最後に彼が完成させる。アセンブリーだよね。大きい作品を作るのにかかるのは、2日くらいかな。一緒に描くのに1日、乾かすのに1日。凄く早いと思うよ」

————2人は世界中をまわってるかと思いますが、アートビジネスは国によってだいぶ変わりますか?  日本では、若い人たちがコンテンポラリーアートを気軽に買う習慣がまだほとんどありません。

FLORE「オレはブライアン(The Producer)ほど他の国に行ってないからな。彼は世界中まわってるからね。マイアミやLA、は、マーケットは強いよ。NYもね。自分の作品に関して言うと、オレはマイアミのパームビーチのDTR Modernっていうギャラリーに所属していて、毎月3作品くらい売れているよ。LAやNYはずっとそんな感じだね。前にインターナショナルでセールスの人がいて、スイスとかヨーロッパで売っていたのだけど、そんなに早いペースでは売れなかったね。オレたちは新しいアーティストだから、もうちょっと様子を見たいんじゃないかな。まだ、活動始めて4、5年だからね。投資目的の人は、アーティストの履歴書をちゃんと見てから買うからね」

The Producer「東京の前にシンガポールに行ってたんだけど、アジアのアートのマーケットも大きくなってるよ。シンガポールのショウはとてもよかった。日本のシーンも大きくなっているんじゃないかな。インターネットのおかげで世界が小さくなってきて、誰とでもコンタクトできるからね。NY、LA、マイアミ、ロンドンが大きなマーケットだけど、アーティストはもっと違うマーケットにもリーチするべきだよ。オレはその国のカルチャーや影響を与えてる人を考えて作品を作るようにしている。そうしたら、みんなオレの作品に親近感を持てるだろう。そのカルチャーを理解して、作品に反映させるんだ」

FLORE「ブライアン(The Producer)の凄いところは、例えば、オレたちの国はある特定のポップアイコンが人気があるんだけど、ブライアンはそれを分かってて、ショウがある地域に合わせて作品に反映させるんだよね。だから、作品がすぐ売れるんだ。デヴィッド・ボウイが亡くなった時も、ブライアンはすぐデヴィッド・ボウイをモチーフにした作品を制作してすぐ売れた。賢いよね。それができるのも、彼の作品はいろんなカルチャーや地域に適合できるからなんだ。モチーフのキャラクターが着てるファッションもそうだよ。その国でポピュラーなブランドを着せたりね。オレの場合は、作品の中のメッセージでそれをやってるよ」

————その国の言葉のメッセージを入れたりするのですか?

FLORE「日本ではやらない方がいいって言われたよ。日本語入れた方がいい?って聞いたら、日本ではアメリカのアーティストは英語だけの方がいいってね。心の中では何で?って疑問に思ったけども」

————FLOREさんは、時計のブランド、HUBLOTとコラボレーションしましたが、どのような経緯で?

FLORE「HAUTE LIVINGという雑誌で、ラッパーのFutureのためにペイントするっていう企画がマイアミであったんだ。HUBLOTがスポンサーでね。そしたら、HUBLOTのCEOがオレの作品を凄く気に入ってくれて、マイアミのアートバーゼルでショウをすることになったんだ。それから、ブランドのアンバサダーに任命してくれて、つい最近、彼らとNYでチャリティイベントをやったよ。10,000ドルで絵が売れてお金を寄付することができたんだ。”HUBLOT LOVES ART”っていうキャンペーンもやってて、HUBLOTはアートをサポートしてくれているんだ」

————日本でやってみたいことはありますか?

FLORE「桜を見たいね。キースへリング美術館でライブペインティングをやるんだけど、キースの美術館に行くのがとても楽しみだよ。10歳くらいの子供の時からずっとキースに影響を受けてるんだ。彼はとても優しい人物だったとらしいから、オレもハーレムの小学校とかを訪れる時は、同じようにキッズのために描いたリしているよ。誰もがオレたちのアートを買うこはできないけども、キッズにちょっとした絵を描いてあげたりすることは大事なことだと思うんだ」

The Producer「オレはもっと抹茶のお菓子を食べたいね」

一同「笑」

The Producer「あとは、美味しい日本食をもっと食べたい。昨日食べたスキヤキは美味しかったな〜」

————エキシビションやコラボなど、これからの予定を教えて下さい。

FLORE「6月にボストンのDTR Modernでソロ・エキシビションをやるよ。あとは、まだ日程が出てないんだけど、LAで初めてオレとブライアンのコラボのソロ・エキシビションをやる予定。確か、8月かな。今まで、1作品とか2作品を展示することはあっても、コラボでショウをしたことがなかったんだ。だから、とても面白いことになると思うよ」

The Producer「4月末にLAのダウンタウンでオークションをやるよ。差別を受けている人たちのために活動している非営利団体のためにアートで資金を集めて協力するんだ。あとは、今年の終わりの方にロンドンでショウをやることが決まってるよ」

 

『お台場グラフィティアート展 “Who’s Next ? ~Banksyを目指すNext Generations〜』は、GALLERY21にて、5月14日(日)まで開催。

 

Text & Photo by Atsuko “Akko” Matsuda

 

■プロフィール

The Producer BDB

本名:Bryan Avila

ストリート・アート出身のコンテンポラリー・アーティスト。日本人の血が流れているロサンゼルス生まれ。wall paintを見たギャラリーオーナーが声を掛け、ギャラリーデビュー。2015年のArt Basel Miamiで作品が売れたことが大きなターニングポイント。ロサンゼルス空港Delta Sky Lounge に展示されたり、2017年LAのファッションウィークで開催されたTommy Hilfiger x Gigi ファッションショー用ミューラル制作作品には、カール・ラガーフェルドやアナ・ウィンターなど現代文化のプロデューサーたちの姿の間に、キース・ヘリングやバスキア、ウォーホル、ダリやピカソなどの表現を含んでいるのが特徴。つまり、ストリートにポップ、ファッションと数多のファイン・アートの融合が、彼の作品といえる。今やNYのブルックリン、ソーホーの数多くのギャラリーからの出展オファーが殺到し、作品制作が間に合わないほどの状況にある。全てが1点もののキャッチーなICONをモチーフとしたオリジナル作品ということと、プライスレンジが他のコンテンポラリーアーティスト作品に比べて手頃であることから、飾りやすいスモールサイズの作品群が飛ぶように売れている。東京の後は、シンガポールアートフェアに出展予定。

http://www.bryanavilastudio.com/

 

FLORE 

本名:Christopher Florentino

New Yorkブルックリン生まれ。NYのストリートアーティスト「ブラッドリー・セオドア(Bradley Theodore)」やThe Producer BDBとのコラボレーションにより、その名を広めた。2016年11月マイアミHUBLOTギャラリーで開催されたエキシビションでHUBLOTとコラボレーション。2017年LAのファッションウィークで開催されたTommy Hilfiger x Gigiのファッションショー用ミューラルを制作。今回、日本初来日展示のアーティストである

http://www.thatartistflore.com/

writer: Atelier506