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インドネシア人アーティスト、ロビィ・ドゥウィ・アントノの新作個展が10月18日より開催

2024.10.17

Roby Dwi Antono
Dekap Erat, Dengar Derap Memekat
2024
Oil on Canvas
H200 x W180 cm

1990 年生まれのジョグジャカルタ在住のインドネシア人アーティスト、Roby Dwi Antono(ロビィ・ドゥウィ・アントノ)の新作個展が、10月18日よりNANZUKA UNDERGROUND にて開催。同ギャラリーにおいて、2 度目の個展となる。

アントノの特異な視覚言語は、SF や自然史からインスピレーションを得て、未来主義、ファンタ ジー、シュールレアリズムを繋ぐ。人間と空想上の生き物、あるいはポップカルチャーの象徴を融合させた現代版シュールレアリスムとも呼べるその作品は、アントノの記憶や経験、想像力を組み合わせて生まれたものだ。本展において、アントノは、3年前にした発表したオイ ル・チョークとオイル・パステルによるキャンバス・ペインティングから、写実的なオイルペインティングに回帰し、重厚で神秘的なシリーズの絵画を制作。本シリーズのテーマは、 「ライフ・サイクル」だとアントノは語る。今年、第一子が誕生し、父親となったアントノは、自分の行いが将来子供に良い循環を与えるように、自らの過去を振り返ることとなった。

Roby Dwi Antono Merekam Mekar Sekar 2024 Oil on Canvas H200 x W180 cm ©Roby Dwi Antono Courtesy of NANZUKA

「LUNAR RITUALS(月の儀式)と名付けられた今回の個展には、その名の通り全ての作品におい て象徴的な月が登場する。アントノにとって、月は神秘の象徴である。月自体は暗く、自分で光を生成することはできないが、月が太陽の光を反射して夜に輝く様子は、アントノにと って精神の善良さ、知性、そして内省の象徴となった。月が再生を表す、というこの信仰は、 月が精神的、文化的に重要な意味を持つインドネシアのジャワ文化の豊かな象徴性と一致している。たとえば、ジャワの太陰太陽暦は、月の満ち欠けに基づいて、宗教的儀式から農業に至るまで、生活の多くの側面を管理します。その周期的な性質は、生、死、再生のサイクルを反映し、 輪廻転生と宇宙のバランスへの考えと密接に結びついていると考えられている。また、ジャワ 文化において、月は内省と瞑想の象徴であり、女性の力とも強いつながりを持つ。それは、豊饒、育成、そして創造と再生のサイクルに関連し、美、愛、献身を象徴する女神デウィ・ ラティと結びついている。この女性的なエネルギーは、ジャワ社会における女性の育成に関する役割を反映しており、月は保護、思いやり、自然の創造的な力を表している。アントノは、 母親が子どもの成長過程に与える影響を暗に象徴的な月の中に込めて描き出し、その重要性を語ろうと試みている。

また、月と共に登場する水もアントノにとって重要なモチーフである。幼少期の頃に飲料水を手に 入れることが困難だったアントノは、水を手に入れるために家族と費やした記憶を回想した。 掘削、排水、ろ過、沈殿という清水の泉を作るための必要なプロセスは、アントノにとってより 深い意味を齎した。それは、永遠の痕跡を残した幼少期の記憶の断片であり、非常に感傷的なものだとアントノは語る。自分の内側を深く見つめ、自分の悪い習慣や否定的な特性を捨 て、より有益な人間になりたいという、アーティストの根底をなす純粋な理想を反映している。

「私の作品は、自分の姿を映す鏡のようなものです。多くの場合、それは私が過去を修復しよう とする事や未来へ希望を与えようとすることへの自己批判の場でもあります。私はいつも、自分の散らばった記憶の断片をすべて掻き集めて、絵画に変換したいという衝動を感じています。」 (Roby Dwi Antono)

【開催概要】

タイトル:ロビィ・ドゥウィ・アントノ「LUNAR RITUALS」

会期:2024 年 10 月 18 日(金) – 11 月 17 日(日)

会場:NANZUKA UNDERGROUND(東京都渋谷区神宮前 3-30-10)

時間:水曜日 – 日曜日 11:00-19:00 *月曜日、火曜日休業