ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて「田名網敬一の観光」開催。会期中にはギャラリートークも。
2019.06.27
2019年7月5日(金)より、ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて「田名網敬一の観光」が開催される。この展示は、1960年代から半世紀以上ものキャリアを誇り、今も尚トップランナーとして、そのキャリアの頂点を極めている田名網敬一の現在を紐解こうとするものである。
田名網敬一がこれまで制作をしてきた作品は、デザイン、イラストレーション、アニメーション、実験映画、立体作品、絵画と多岐にわたるが、可変的な創造者であろうとしてきた彼の等身大の姿がある。現在、彼が世界中のアーティスト、デザイナー、ミュージシャン、ファッションデザイナーから集めている尊敬は、あらゆる境界、領域を超えて創作活動を続けてきた歴史の重みに比例するものだ。
近年、田名網敬一は自身の記憶や夢を原風景にして、その80年以上もの歴史を記したいわば “曼荼羅図”の制作に取り組んでいる。一見すると奇怪でありながらもポップな妖怪画のように見える近作だが、そこに描かれているものは彼の実体験に基づく様々な記憶だ。アメリカンコミックを引用したアメリカの爆撃機、その中で光を放つ擬人化した爆弾、威嚇するように蠢めく鶏や金魚などは、彼が幼少期に実際に体験した戦争の記憶に深く関係している。また、彼が敬愛するアーティストたちの作品や、SF雑誌、漫画のキャラクターなどの引用も数多く画面に発見することができる。こうした引用は、田名網敬一とポップアートとの関係性を示す一方で、作品を通して自身の記憶をポジティブなものへと変換しようとする作家の自然な姿を映し出している。
本展は、22点の新作プリント作品、アニメーション、立体作品から、ファッションブランドとのコラボレーションアイテム、出版物、プロダクトアイテムなどを網羅し紹介する。昨年8月に京都dddギャラリーで開催された「田名網敬一の現在」から約1年。ますますパワーアップした田名網ワールドに期待が高まる。
【プロフィール】
田名網敬一/たなあみ けいいち
1936年東京都生まれ。武蔵野美術大学を卒業。1991年より京都造形芸術大学教授を務める。1960年代より、グラフィックデザイナーとして、映像作家として、そしてアーティストとして、その境界を積極的に横断して創作活動を続け、現代の可変的なアーティスト像の先駆者として、世界中のアーティストたちに大きな影響を与えている。近年の主要な展覧会として、「International Pop」(Walker Art Center, Dallas Museum of Art, Philadelphia Museum of Art, アメリカ, 2015-2016)、「The World Goes Pop」(Tate Modern, ロンドン, 2015)、「Japanorama. A new vision on art since 1970」(センターポンピドゥー・メッス, フランス, 2017)、「Hello World. Revising a Collection」(Hamburger Bahnhof – Museum für Gegenwart, ベルリン・ドイツ, 2018)、「Keiichi Tanaami」(K11 Art Foundation, 広州・中国, 2018)など多数。また、MoMA(アメリカ)、Walker Art Center(アメリカ)、The Art Institute of Chicago(アメリカ)、M + Museum for Visual Culture(香港)、National Portrait Gallery(アメリカ)、Nationalgalerie im Hamburger Bahnhof(ドイツ)といった世界中の著名美術館が、近年新たに田名網作品の収蔵をしている。
【開催概要】
タイトル:ギンザ・グラフィック・ギャラリー第374回企画展「田名網敬一の観光 / Keiichi Tanaami Great Journey」
会期:2019年7月5日(金)~8月21日(水)11:00~19:00
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1F
休館日:日曜・祝日
入場:無料
協力:NANZUKA
【オープニングパーティ】
日時:7月5日(金)17:30~19:00
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー+DNP銀座ビル2F
【ギャラリートーク】
日時:7月12日(金)18:30~20:00
出演:田名網敬一+山下裕二(美術史家・明治学院大学教授)
会場:DNP銀座ビル3F
入場:無料(先着70名・要予約) ※お申し込みはこちらから(7月5日11:00~)