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大阪の名所、道頓堀で開催。「とんぼりリバーウォーク:道頓堀ARTSUMMIT」

2019.08.02

とんぼりリバーウォーク、BAKIBAKI、道頓堀アートサミット、ウォールシェア、グラフィティ、ストリートアート

大阪道頓堀川遊歩道にて、ウォールアートを媒介として新たな魅力と賑わいを創出し東西の回遊性を向上させることを目的とした「とんぼりリバーウォーク:道頓堀ARTSUMMIT」のプロジェクトがスタートした。本プロジェクトは、テーマに沿ったアーティストの作品に加えて、希望する企業などの依頼を受けて有料で企業ロゴや商品、サービスをPRするアート広告を作成し展示を行う「ウォールシェア」のジャンプオフ・プロジェクトで、観光名所として知られるグリコの看板のすぐ西側に位置する大黒橋〜新戎橋の両岸の壁にボードを取り付け、6組のアーティストが「元気な大阪らしさ」をテーマに、7月5日(金)、6日(土)、7日(日)の3日間でウォールアートを制作。現在も展示を続けている。

アート広告を作品と同列に展示する、この「ウォールシェア」は、いわゆる世間で言われる「グラフィティ(落書き)」を逆手に取り、価値観を180度覆すシェアリングエコノミー・サービスだ。今回、地元の南海電鉄と連携し、プロジェクトを進めている180(ワンエイティー)のディレクター、川添氏に電話にて話しを聞いた。

————まず、「ウォールシェア」というサービスについて教えて下さい。
「たとえば、土地を持っている人で駐車場にして貸し出している人って多いですよね。それと同じように、壁主から僕たちにそのスペースを貸し出してもらい、そこに企業とアーティストのコラボレーションのアートを展示することによって、壁にスペースとしての価値が生まれて、アーティストも大きな壁に作品が描けて、そして、そこに人が集まるっていう流れを目指しています」

————不動産のオーナーさんは理解をしてくれる方は多いのですか? 東京に限って言うと、とてもそうはいかなそうですが。

「大阪を拠点において活躍をされている私鉄の南海電鉄さんが道頓堀の遊歩道の管理をしていて、そこで成功事例を作りましょうってことで、今回は南海さんに壁を貸していただいたんです。持ち主は大阪市なので、行政の協力もありました」

————そもそも、このウォールシェアを立ち上げようとしたきっかけは?

「まず、アートをもっと世に広めたい、落書きをアートという価値観に変えたい、ストリートで活躍するアーティストさんの活躍の場を作りたいという想いがありまして。そんな時に、TSUTAYAを運営するCCCグループのビジネスプラン・コンテストがあり、この「ウォールシェア」をプレゼンしたところ、僕たちが優秀賞をいただいたんです。なので、CCCグループとも今、協業させてもらっています」

————以前にもウォールアートのプロジェクトに関わったことはあるのですか?

「初めてです。自分が好きなカルチャーでいちファンだったんですけど、きっかっけがあってそういうアイディアを思いついて。壁を貸してシェアリングエコノミーにみたいにアプリで登録できて…みたいなものをイメージしていたら、このプロジェクトに行き着きました」

————構想からどのくらいの期間がかかりましたか?

「ゼロからスタートしたので1年くらいですね。CCCグループのコンテストでの受賞が去年の12月です。なので、受賞からは半年くらいです」

————初めての試みということで、大変なことが多かったかと思いますが、一番難しかったことは何でしたか?

「いろいろ大変でしたが、振り返ると難しくて悩んだということはないかと思います。これからもっといろんな壁が発生するかと思いますので、その都度皆で協力しながら乗り越えたいと思います!」

————いろいろなスタイルの作品があるのがいいと思いました。グラフィティが好きな人とペイントの作品が好きな人が一緒に来て楽しめるというか。

「そうですね」

————以前、POW WOW HAWAIIの創始者のジャスパーにインタビューした時に、東京は壁を探すのがとても大変だったと言っていました。やはり、行政との連携がないと実現するのは難しいですか?

「難しいですね」

————これだけ大きな壁とアーティストさんの数がいると、材料費等もかなりかかったかと思いますが。そのあたりの資金繰りは?

「自分たちで頑張って捻出しました。今回はお金の援助はないというのが前提でしたので」

————来場者数や来場者の反応はどうでした?

「イベントとなると人は来ますが、イベントの後は人通りも少なくなるので、これからマーケティングしたり、作品をあと20作くらい増やしていく予定です。常設したウォールアートでは日本で一番多い場所にしたいですね。大阪に来たら、ここのアートスポットは外せないよねっていうくらいの名所にしたいですね。いろんなアーティストに関わってもらいたいです」

————観光客も多いですしね。

「今も海外からの観光客は通りかかると写真を撮ってくれますね」

————何かクレームなどはありましたか?

「なかったですね。挨拶を事前にしていたので。「盛り上げてくれてありがとう」って言葉もいただきました。「ウチの壁使っていいよ!」とか。このまま上手く行けばいいなって思ってます」

————大阪での成功が見本になって、他の地域の行政が理解を示すきっかけになることを願っています。

「まさにそれを狙っています。大阪は万博もあるので盛り上げていきたいと思ってます。人が見てしまうような作品を展示して、気付いたら広告だったっていうのを目指しています。シェアされる広告ってあまりないと思うので」

【展示概要】

展示場所:「とんぼりリバーウォーク」大阪道頓堀 大黒橋〜新戎橋間の両岸

展示作品数:10点(各岸とも大黒橋側から5点)

参加アーティスト:CAB、GRIND PENCIL、山栄 ART 工房、BAKI BAKI、みんな表現代表 Artist 織田、YOHEY

writer: Atsuko Matsuda