写ルンですで振り返る「ASG by ART PHOTO TOKYO」
2018.12.10
長年カルチャーの発信地としての地位を確立してきた東京・渋谷。再開発に伴い2018年末に取り壊される渋谷区桜丘のビル一棟に50名以上のアーティストが集結し、「ARIGATO SAKURAGAOKA produced by ART PHOTO TOKYO」が2018年11月16日(金)~12月2日(金)に開催された。
2020 年に向け大きく変わろうとしている東京、なかでも再開発の動きがめざましい渋谷でこれまで桜丘を見守ってきた「ヤマハエレクトーンシティ渋谷」は今年、40年以上の歴史に幕を閉じた。
ポップカルチャーを意識し選考された写真家、アート&サイエンスやテクノロジーなどの新しいアート、音楽や建築、デザインなど、”いまの東京”を体感できるエキシビションとなった。
エントランス横の駐車場にはエンジニアでもあるアーティスト脇田玲の作品が並ぶ。
2011年3月より開始した音楽好きのフォトグラファー8名が中心となり始まったクラブイベント「TOKYO PHOTOGRAPHER’S NIGHT」のグループ展も行われ、小誌のアドバイザーを務める米原康正も出展。
館内は、ヤマハエレクトーンシティ跡地ならではの、設備をそのまま生かした展示が行われた。
屋上にはバーやDJブースが併設され、周りのビルに見下ろされながらヤマハエレクトーンシティへの別れを惜しむ。
街でスケートボードを駆け巡る作業員達が、行きついた先にスケートパークを作り出す映像を展示したEVERYDAY HOLIDAY SQUAD(SIDE CORE)。SIDE COREは先日の鉄工島FESではコムアイ(水曜日のカンパネラ)とのサウンドインスタレーションを出展した。
“渋谷は東京のストリートカルチャーの中心地として歴史のある街で、SIDE CORE自体の活動においても重要な舞台です。そのような背景を踏まえ今回は、「今まさにその場所で見るべき」かたちで作品を発表する重要な機会となります。” SIDE CORE
建築家 谷尻誠は”青焼き”を展示。イラストレーター長場雄は、2017年に発表したインスタレーション「Study」のヤマハエレクトーンシティRemixバージョンを展示。会場構成は建築家 元木大輔が手掛けた。
映像作家・写真家 柿本ケンサクは、渋谷を拠点とした都内4箇所のビルボードを自身で購入し2018年11月15日から12月14日まで一ヶ月かけジャックしている「TOKYO Billboard Jack」のプロジェクトの一環として、1ルームをジャック。俳優の窪塚洋介を撮影した作品を天井と壁全面に展示した。
広島を拠点とする植物店 叢(Qusamura)も植物20点を展示。
館内の階段や廊下にはグラフィックが描かれている。
3階のメインスタジオはバーを併設しLIVEやDJイベント、トークショウなどが行われ、yogiboでくつろぎながら鑑賞できる空間となっていた。
平成最後の芸術の秋を楽しむ、とっておきのエキシビション。ハイスピードで変わっていく桜丘の街に哀愁を感じつつ、これからどうなっていくのか期待する気持ちも隠せない。
ARIGATO SAKURAGAOKA produced by ART PHOTO TOKYO
会期:2018年11月16日(金)~12月5日(日)
開催日:木・金・土・日曜日(月・火・水曜日は休館)
開館時間:12:00~22:00 音楽イベントにより24:00まで、最終日は20:00まで
会場:ヤマハエレクトーンシティ渋谷跡地(東京都渋谷区桜丘町8-27)
桜丘は一帯が再開発となり、長年経営されてきた店も閉店を迫られてきた。(約45年間愛されてきた立ち呑み屋「富士屋本店」も閉店。)シャッター街となった桜丘のあちこちにASGのポスターが貼られた。
writer: Atelier506