昨年のNYでの滞在経験をもとに新作を制作。メディアアーティストのやんツーが、6月4日より個展を開催!
2025.05.27

デジタル・メディアの思考を基盤に、公共圏における表現にインスパイアされた作品を多く制作するやんツーの個展「Homage to NewYork」が6月4日(水)より西麻布のWALL_alternativeにて開催する。
やんツーは、セグウェイが作品を鑑賞するインスタレーション作品や、AIを用いた自動描画マシンなど、機械が人間の行為を代行する「自律的な装置」を用いた作品を制作している。近年では、自身が用いる技術の根幹にあるエネルギーの在りかを追求する作品を展開。私達のインフラとなるテクノロジーを批評的にまなざす作品を通じて、テクノロジーと人間の関係性を問い直すとともに、表現の主体や身体性について新たな視点を創出している。
本展では、昨年ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の助成を受けてニューヨークやその他アメリカ各所で半年間リサーチを行ったやんツーが、その経験を元にして新作を制作し展覧会を構成している。展覧会タイトルは、キネティック・アートの先駆者ジャン・ティンゲリーが1960年にMoMAの庭で発表した大規模な上演形式のキネティック作品《Homage to New York(ニューヨーク讃歌)》に由来する。この作品は上演が進むにつれて次第に自壊し最終的に炎上するというものだった。
本展では、7メートルに及ぶ壁面に、滞在中に得た記録素材をコラージュした巨大作品を展示し、滞在経験に紐づいた手法を通じて、ニューヨークでの体験を視覚的に再構成する。
また、《遅いミニ四駆》シリーズの新作が、会場を囲む全長15メートルにおよぶ特設コースを徐行する。
さらに、ラジカセと端材、現地で録音した音声を用いたサウンドインスタレーションや、やんツーが「E.A.T.(Experiments in Art and Technology)」のメンバーであるジュリー・マーティンを取材したインタビュー映像、代表作《脱成長のためのイメージ》シリーズ最新作など、新作10点以上を発表する。
展覧会期間中にはトークイベントも開催。6月7日(土)にはキュレーター・畠中実、アーティスト・久保田晃弘を迎え、メディアアートについて深堀するトークセッションを公開収録形式で実施。また、展覧会最終日には、滞在中にリサーチのために参加した日本山妙法寺の行脚を振り返る、日本山妙法寺の僧侶・矢向由季とのトークセッションを予定している。
また、併設のバーではニューヨーク滞在期間にブルワリー巡りをして見つけたビールや、やんツーが兼ねてから親交の深い茅ヶ崎のブルワリー「Passific Brewing」のビールを提供するほか、本展に合わせた限定フードも提供する。
なお、展覧会初日の6月4日(水)18:00からはオープニングレセプションを実施、アーティストも在廊予定だ。
【プロフィール】
やんツー / yang02
1984年、神奈川県生まれ。美術家。先端テクノロジーが組み込まれた既成品や動力装置、廃品、あるいは既存の情報システムなどを誤用/転用/ハッキングする形で組み合わせ、平面や立体、インスタレーション、パフォーマンスといった形式で作品を発表している。テクノロジーによって無意識化/隠蔽される政治性や特権性について考察する。文化庁メディア芸術祭アート部門にて第15回で新人賞(2012)、同じく第21回で優秀賞(2018)を受賞。TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト寺瀬由紀賞。ACCニューヨーク・フェローシップ(2023)にて6ヶ月渡米。近年の主な展覧会に、「MOTアニュアル2023」(東京都現代美術館、東京、2023)、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京、2022)、「遠い誰か、ことのありか」(SCARTS、札幌、2021)、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2018)、あいちトリエンナーレ2016(愛知県美術館)などがある。また、contact Gonzoとのパフォーマンス作品や、和田ながら演出による演劇作品発表など、他分野とのコラボレーションも多数。
http://yang02.com
【開催概要】
タイトル:やんツー 個展「Homage to NewYork」
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
会期:2025年6月4日(水) 〜 6月28日(土) ※日曜定休
時間:18:00-24:00
入場:無料・予約不要