フランスのストリート文化を読み解く特別展がアニエスベー ギャラリー ブティックにて開催中!
2025.01.08
アニエスベー ギャラリー ブティックにて、大山エンリコイサムスタジオが運営する「LGSA by EIOS」によるディレクションのもと『Writing Unbound―フランスのストリートアートと出版物』が開催。
2025 年夏に渋谷で開室予定の「LGSA by EIOS」は、文献の収集・管理・公開をとおして、ストートアートについての社会理解を促進するインフラであることを目的とした、これまでにない資料室/ギャラリーだ。本展では、来年の開室に先駆け、LGSA の収集資料から、パリを中心にフランスの路上/ ストリートの表現をテーマにした13冊の書籍を紹介するとともに、それぞれの内容から派生した小展示をギャラリー内の各所に展開。書籍やギャラリーといった制度空間に内在する固定観念をときほぐし、内と外の関係性を揺さぶり、新たな批評的視点の可能性を模索する。
■ステートメント
ストリートは都市を中心とした屋外の路上空間を指し、そこで自由闊達に育まれたストリートの文化は、 屋内のさまざまな制度空間 (美術館、ギャラリー、大学、アカデミズム、行政、ショッピングモールな ど) で育まれた文化とは異なる価値をもつと考えられてきた。 しかし都市がすみずみまで監視され、生活のあらゆる細部が資本の論理に浸っている現代社会において、 物理的な屋内・屋外の空間と、制度の内部・外部の空間をイコールで捉えることは、ますます困難になっ ている。ある空間の外部に出ることは、別の空間の内部に入ることにすぎない。あらゆる制度から逃れ た、無垢な外部の空間はいまや成立しないと認識するべきだろう。誕生から半世紀を経て、すでに歴史の ある巨大な産業となったストリートの文化も例外ではない。 しかし空間の外部に出られなくても、さまざまな空間を横断し、その運動を活性化することで、空間のボ ーダーを揺さぶることはできる。またはボーダーを引き直すことができる。制度そのものを撤廃できなく ても、制度をかたちづくる線をあらたに組み直すことはできる。そこに現代的なストリートの可能性があ ると私たちは考えている。
本展では LGSA とアニエスベーが協働し、LGSA の収集資料から、パリを中心にフランスの路上/ストリ ートの表現をテーマにした 20 世紀後半から現在までの書籍を紹介するとともに、それぞれの内容から派 生した小展示をギャラリー内の各所に展開する。書籍やギャラリーは、言語や商業の空間であり、制度性 を帯びやすいと考えられる。その意味で、ストリートアートをあつかう書籍をギャラリーで展示すること は、路上の空気を制度のうちに閉じ込めているかもしれない——。本展の狙いは、そうした固定観念をほ ぐすことにある。 製本された書籍が解かれ、綴じられたページがめくられると、路上の空気は再び外部に放たれる。外を内に閉じ(綴じ)、内をふたたび外に開く(解く)こと。BoundとUnbound の往復運動により、路上のライティングと活字のライティングは交差し、ストリートの概念をあらたな意味の連関のもと綴り直す。その持続がえがく軌跡には、外部なき現代における批評の手がかりがあるだろう。
【開催概要】
タイトル:Writing Unbound
会期:2024 年 12 月 21 日(土) 〜 2025 年 2 月 9 日(日)
会場:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南⻘山 5-7-25 ラ・フルール南⻘山 2F)
休廊日:月曜日