クリスチャン・レックス・ヴァン・ミネンの日本初の個展をNANZUKA3拠点で開催
2021.08.18
©Christian Rex van Minnen
Courtesy of NANZUKA
アメリカ人アーティスト、クリスチャン・レックス・ヴァン・ミネンの日本初となる個展が、NANZUKA初となる東京3会場で8月20日より順次開催される。
ヴァン・ミネンは1980年にアメリカ、ロードアイランド州、プロビデンスに生まれ、2002年にレジス大学学士課程を終了。現在はカリフォルニア州、サンタクルーズを拠点に制作をしているペインター。近現代のニューエイジ的な神秘主義、デスメタル、ポルノ、タトゥー、インターネット・ミーム、サーフ・カルチャー、SNSといった21世紀の多様で混沌とした文化の要素を取り込んだ孤高の作品を生み出している。
タトゥーを纏った肉塊や生命を宿したゼリーが乱舞する摩訶不思議な画面を見て、言葉を失う人も多いかもしれない。しかし、そのグロテスク趣味の境地とも呼べるヴァン・ミネンの際立った作品の背景を語るには、まず彼が15世紀フランドル地方で独自の発展を遂げた油彩絵画の古典的な技法を踏襲している点に着目する必要がある。美術史において「初期フランドル派」として分類されるヤン・ファン・エイクやヒエロニムス・ボスは、特にその美しい画面の中に潜む“風刺性”や“寓話性”をもって、極めて重要なアーティストとされている。特にヴァン・ミネンの作品との親和性という点では、ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」は、最も重要な啓示を与えた1点と言える作品だろう。
「快楽の園」の中に描かれている“快楽に溺れて常軌を逸した行動を取る人々”、“欲望の果てに変体した人々”、“地獄で喰われる人々”の様相は、かつてはキリスト教における戒律や教訓を示すものであった。しかし、現代においては超現実的な想像力、ブラック・ユーモア、多様性への理解、偏見への反抗、あるいはカタルシス作用といった別の軸を持って解釈することも可能だ。そして、ヴァン・ミネンは、それを「アイデンティティの解剖図」と称する。
私たちの心の暗部を見つめ、恐れや偏見を分類すること。人種や階級、セクシュアリティといった枠組みを解体して捉えること。ヴァン・ミネンは、透明で艶のある薄い顔料を幾層にも塗り重ねると言う600年前に開発された技法を用いて、暗闇の中でこそ光り輝き、真価を発揮する幻想的な安堵を、表現しようとしている。
【開催概要1】
タイトル:It Comes In Waves
会期:2021年8月28日(土)~9月26日(日)
会場:NANZUKA UNDERGROUND(東京都渋谷区神宮前3-30-10)
開廊時間:11:00~19:00 ※月、祝日は定休日
【開催概要2】
タイトル:Mystic Wipe Out
会期:2021年8月20日(金)~9月12日(日)
会場:NANZUKA 2G (Shibuya PARCO 2F)
開廊時間・定休日:渋谷パルコに準じる
【開催概要3】
タイトル:Thought Forms
会期:2021年8月24日(火)~9月18日(土)
会場:3110NZ by LDH kitchen(東京都目黒区青葉台1-18-7)
開廊時間:11:00~16:00 ※日、月、祝日は定休日
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