YONE × ROSTARR 対談:THE NIGHT SAVE MY LIFE
2017.05.16
アート、音楽、お酒、下ネタ(!?)を媒介に、1999年から交流を続けて来た東京ベースのフォトグラファー/編集者とNYベースのアーティスト。初めて顔を合わせた日から16年の時を経て、5年ぶりに東京で再会を果たした2人の赤裸裸トーク!
*YONE氏のblock FMの番組『THE NIGHT SAVED MY LIFE』でのトークから会話を抜粋しました。
ライブペインティングを始めてから、自分の作品を見せることに抵抗がなくなったんだよね(ROSTARR)
YONE 「今回日本に来た目的は?」
ROSTARR 「今回はDIESELの”ALRITE”っていうプロジェクトで日本に来たんだ。大きなキャンバスにペインティングしたものを切り刻んで、555の時計に落としこんだんだ。そのうちの55本を日本で販売するんだ」
YONE 「ロースターとは1999年に初めて知り合ったんだよね。昔、恵比寿にあったMILKっていうクラブとかで一緒に遊んだりしてたんだ」
ROASTERR 「MILKの地下のバーカウンターでよく飲んだ。JOSE PARLA(ホセ・パルラ)も一緒に朝までね」
YONE 「JOSEはこの間も日本でエキシビションをやってたよ」
ROASTERR 「JOSEとはバーンストーマーズっていうアーティスト集団に所属してて、一緒に絵を描いたりしたよ」
YONE 「オレも描いてもらったけど、どこにあるかなー。探さないと!」
ROASTERR 「オレの作品、どこにやっちゃったんだよー。返してもらわないと(笑)」
YONE 「探せばある! ところで、ロースターはいつから描き始めたの?」
ROASTERR 「すごく若い時だね。兄貴とオレは子供の時からコミックやアニメを見て育ったんだ。だから、自分たちで漫画を描いたりしていたんだよ。それからずっと描く事が好きで、アートスクールに入学してからはグラフィックデザインやシルクスクリーニングを勉強したよ。同時に絵を描くことも再開した。それで、自分の作品を描きたくなったんだ。その後、フルタイムのアーティストになろうって決心したんだ。1995か1996年くらいかな」
YONE 「壁に描いたりはしてたの?」
ROASTERR 「オレはグラフィティアーティストではないんだ。兄貴はグラフィティアーティストだけどね。ブレイクダンスはやったてよ。オレがブレイクダンスをする後ろで兄貴がグラフィティを描いてたんだ」
YONE 「ライブペインティングみたいなことは?」
ROASTERR 「後になって、ライブペインティングも凄くやるようになった。パフォーマンスみたいで面白いって思ったんだ。はじめの頃は、自分の作品を人に見せるのが恥ずかしかったんだよね。ライブペインティングをはじめてから、自分の作品を見せるのに抵抗がなくなったんだよね。ほとんどのアーティストが凄くシャイだと思うよ。そういった意味では、(ライブペインティングは)凄く役立ったよ。で、友達のデヴィッドがバーンストーマーズを始めて、たくさんのアーティストが一緒にペイントをするようになったんだ。KAMIとかSASUとかMADSAKIとかね。一緒にペイントしたことは、アーティストとしてとてもいい経験となったよ」
YONE 「それは何年頃の話し?」
ROSTARR 「98年か99年かな。バーンストーマーズはその後、2007年くらいまで続いたんだ」
YONE 「98年にV6の仕事でNYに行ったんだけど、その時の車のドライバーがMADSAKIだったんだよね」
ROSTARR 「彼がYURI SHIMOJOとウィリアムズバーグに住んでた頃だね」
YONE 「時間経つの早いね」
ROSTARR 「ほんとだよ(笑)。MADSAKIは有名になったしね。リスペクトだよ」
YONE 「彼のスタイルも変わってきて、今は村上隆とかともやってるよね」
YONE 「ROSTARRが凄くいい感じになってるって聞くようになったのは、2006年くらいなのかな。その昔、ブレイクダンスやってた頃とか、将来はどんなアーティストになりたいかとか考えてたの?」
ROSTARR 「特になかったね。ペインティングをもっとやるようになって思ったのは、自分のためにやってるっていうか、やっていて自分が気持ちよかったんだ。誰かの期待に応えるわけではなく、すべて自分で決めてできるし、アーティストになって自由を得た感じだよ」
YONE 「自分は未だに最終地点が分からなくて、作品を作る時は興味があるものを作るだけで、こうしたらオレは成功するだろうって考えがないんだよね」
ROSTARR 「自分が幸せって思うことをやればいいんだと思うよ。自分の作品を作り始めたら、これだ!これ以外のことはやらなくていいんだって思うようになるんだ」
僕は女の人は作品って思って思ってるんだよ(YONE)
YONE「今回は仕事以外に何かやりたいことは?」
ROSTARR「ショッピングして、日本の友達に会ったりかな」
YONE「でも、MILKとか昔みたいにみんなが集まる場所がないんだよね…」
ROSTARR「ルバロンも?」
YONE「ないよ」
ROSTARR「やっぱり、いろいろ変わったんだね」
YONE「大人が集まるような場所がないんだ」
ROSTARR「クラブカルチャーは死んじゃったの?」
YONE「音楽を楽しむってよりは、酒飲んで騒ぐようなところはあるけどね…。ROSTARRが来てた当時、日本はアジアに凄く影響力があったんだけど、今はあまり元気なくて、韓国とか他のアジアの国の方が影響力があるんだよね」
ROSTARR「そうとは思わないけど。東京のカルチャーは今でも他の国々に影響を与えていると思うよ。みんな東京のファッションやテクノロジーやトレンドのことは気にしていると思う。アメリカの方がスローダウンしているよ。でも、もしかしたら東北の地震の後、ちょっと静かになったかもしれないね」
YONE「僕の地元の熊本の地震もあったし、日本人がションボリしがちだから、そうやって言ってもらえると元気が出るよ」
ROSTARR「東京は2012年ぶりなんだけど、ここ数年、ソウルには何回か行ってて、韓国のアーティストは、韓国で活動するより、日本かNY、パリでやりたいって言ってるよ。日本もストリートカルチャーの発信地だからね。
YONE「その肝心の東京のストリートカルチャーが見れば分かる通り、少なくなって来ているから、そこはもう一回盛り上げないとって思ってるけども」
ROSTARR「2006年や2007年は凄く勢いがあったのにね。アーティストもたくさん日本に行ってた。relaxみたいな素晴らしい雑誌もあったし。relaxが休刊してカルチャーが弱くなって来た感じがするな」
YONE「ああいう感じの雑誌はもうないよ。カルチャーを扱うんじゃなくて、情報誌ばっかりだから。それも世界的な流れなのかなとも…」
ROSTARR「アメリカはそこまでじゃないかな。そういえば、YONEは昔、サンダーバードって会社をやっていたよね」
YONE「今もまだやってるよ。アーティストを抱える会社なんだ。DELTAとかも所属してる」
ROASTERR「クールなプロジェクトを一緒にやったよね」
YONE「最初にROSTARRが東京に来た2000年前後は、女の子たちがもっとセクシーな格好していたよね。ギャルファッション全盛期で」
ROSTARR「短いスカートはいてたよね。肌を焼いてて、パーマかけてたコギャルもいたしね」
YONE「あの頃は渋谷だったんだけど、今は原宿が主流なんだよね」
ROSTARR「しばらくの間、代官山の時もあったよね」
YONE「時代とともに変わってるんだ。自分はいつも女の子を追いかけてるから」
ROSTARR「昔、YONEは昼のオフィスと夜のオフィスがあったよね。夜のオフィスでポラロイドをいろいろ見せてもらったよ」
YONE「いろいろ教えたよね。コギャルを含め。今晩はオレのオフィスで、新しい日本のカルチャーを教えるよ。いろいろね…」
ROSTARR「いやいや、もう結婚してるし、子供も2人いるから」
一同「爆笑」
YONE「そういうのじゃないよ! 研究だよ。もっと日本を知ってもらいたいんだ。でも、仕事柄よく、どんな女の人が好きなんですか? とかどんなモデルが好きなんですか?って聞かれるんだけど、全部好きって答えてるよ」
ROSTARR「それはいいことだと思う(笑)」
YONE「よく女の子を紹介してくれって言われるんだけどさー。みんなROSTARRに作品をタダでくれって言わないし、言われたくないよね?」
ROSTARR「まあそうだけど、それとこれとは何か違うような気が…」
YONE「それだけ、僕は女の人は作品って思ってるんだよ。金が欲しいってわけじゃなくて、自分で見つけてくどいてくれってことなんだ」
ROSTARR「世の中にはたくさん女の子がいるから、自分で探せってことだよね! 今、日本では少子化が問題になってるって聞いたから、男子のみんな! 外に出て愛し合おう!」
YONE「その通り!」
Translation : Atsuko “Akko” Matsuda
writer: Atelier506