アンドーギャラリーにて平川祐樹「映画になるまで 君よ高らかに歌へ」開催
2018.06.06
映画になるまで 君よ高らかに歌へ 2018 Video installation, 4K UHDTV, stereo, 9’00”
6月12日より、アンドーギャラリーにて平川祐樹の個展「映画になるまで 君よ高らかに歌へ」が開催される。平川祐樹にとってアンドーギャラリーで初めての個展となる本展では、2017年より制作している「Lost Films」シリーズの第三作となる映像作品「映画になるまで 君よ高らかに歌へ」を発表する。
壁に投影された黒い背景に、古い日本映画のタイトルと製作年が淡々と現れては消え、タイトルを朗読する男性の声が低く会場に響く。一見するとタイトルの羅列のように見えるが、それぞれのタイトルにゆるやかな繋がりがあり、詩的な意味が垣間見える。
それらの映画は、かつて一般公開された日本映画で、雑誌やポスターなどに記録はあるものの実際のフィルムが残っていない「失われた日本映画」だ。驚くべきことに、1930年代までに上映された日本映画のうち約95%のフィルムが行方不明になっていると言われている。その理由として、1940年代までの多くの映画が発火性のあるニトロセルロースを原料としたセルロイドフィルムを使用していたこと、映画フィルム保存に対する認識の薄さ、関東大震災や世界大戦の空襲による焼失などが挙げられる。
平川は制作の過程で、失われた日本映画のリストを眺めていた際に、いくつかの映画タイトルがリストの中で繋がり、ひとつの言葉の流れを構成していることに気がついたと言う。それらのタイトルを抽出し並べ替えていくと、断片的ではあるものの、詩と呼べるようなものが完成した。それは言わば、輝かしい映画史の背後で失われてきた日本映画の「声」なのだ。「映画になるまで 君よ高らかに歌へ」は、張り巡らされた歴史の糸を絡め取り、黒い光としてスクリーンに投影し、失われた何千という膨大な数の映画の魂を呼び起こすだろう。
【プロフィール】
平川祐樹は1983年愛知県生まれ。場所や事物に宿る「時間」や「記憶」をテーマに、映像を主軸とした作品を制作している。2011年よりドイツを拠点に多数のアーティスト・イン・レジデンスに参加、2015年には文化庁新進芸術家海外研修員としてベルリンに滞在した。主な展覧会に2013年「眠りにつくまで」(美濃加茂市民ミュージアム、岐阜)、「あいちトリエンナーレ2013」、「札幌国際芸術祭2014」、2016年「19th DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京)などがある。
【開催概要】
タイトル:平川祐樹「映画になるまで 君よ高らかに歌へ」
会期:2018年6月12日(火)~7月28日(土)11:00~19:00
休廊美:日・月・祝日
会場:アンドーギャラリー(東京都江東区平野3-3-6)
【オープニングレセプション】
日時:2018年6月12日(火)18:00~20:00
会場:アンドーギャラリー(東京都江東区平野3-3-6)