感覚と意識を揺さぶる“動く静止画”の世界。浅川翔の個展『“PAGES ART” EXHIBITION 2025 SUMMER IN TOKYO』が7月26日より開催
2025.06.23

音楽活動を軸として多岐に渡り活躍するアーティスト、浅川翔の個展「“PAGES ART” EXHIBITION 2025 SUMMER IN TOKYO」が、7月26日(土)よりWISH LESS galleryにて開催。
Apple社の文書作成ソフト「Pages」。本来はデザイン用途ではないこのアプリをあえて使用し、世界で初めてアート表現へと昇華させた作品群が《Pages Art》だ。
この作品群の最大の特徴は、特定の光(特にグラデーション光)を受けることで、画面上の色彩が動いて見えること。静止画でありながら、まるで形が揺れたり、波打ったりしているかのような錯覚を生み出す。それは単なる視覚のトリックではなく、「感覚と意識の再構築」と言える、まったく新しい没入体験である。
ポップで親しみやすい印象の裏には、不穏さやサイケデリックな深層が潜み、作者自身が体験してきたアンダーグラウンド・ミュージックシーンの記憶と感覚が、色彩や構成に濃密に表れている。
また、本作は1960~70年代のフラワームーブメントで知られるアーティスト、Victor Moscosoの視覚効果にインスパイアされ、「多色の光を当てるとまるで映像のように絵が動く」ライブ感を表現しスマホや画面では伝わらない、生でしか感じ取れない“人間的な感覚”に強く訴えかける。そして1980年代後半イギリスのレイヴ&サイケデリックカルチャー「セカンド・サマー・オブ・ラブ」のエネルギーやグラフィック感も作品に影響を与えており、当時のポスターやレコードジャケットを想起させるカラーリングやモチーフを、現代的に再構築している。
日本における錯視研究の第一人者・北岡明佳氏の手法にも着想を得ており、鑑賞者の知覚に直接働きかける構成が随所に見られるのも特徴だ。
子どもは「色が動いて楽しい!」と笑い、大人は知らぬ間にその世界に深く引き込まれていく——。
《Pages Art》は、年齢もジャンルも越えて、「見ることの楽しさ」そのものを再発見させてくれるアートの新境地だ。

ミニ 屏風 シリーズ ©︎SHO ASAKAWA
【プロフィール】
浅川翔/SHOASAKAWA
茨城県出身。グラフィックデザイナー、イラストレーター、ミュージシャン、ファッションデザイナーとして多彩な表現領域を横断しながら、東京を拠点に国際的な活動を展開するクリエイター。幼少期より音楽と密接に結びついたカルチャーに強い関心を寄せ、13歳のときに出会った英国のカルチャー誌『i-D』を契機に創作への意識を深める。70年代のPUNKを聴きながら絵を描き、楽器を手にし、服を手縫いで制作するなど、多様な表現手法を早い段階から独自に模索していった。高校卒業後は、東京のファッションデザインスクールに進学。在学中の2005年より、ファッションブランド「VENUS ECCENTRIC」のデザイナーとしてキャリアをスタートさせると同時に、音楽活動にも本格的に取り組む。2009年、自身のレコードジャケット制作をきっかけにApple社のワードプロセッサ「Pages」と出会い、同アプリケーションをアートツールとして活用する独自の視点を確立。以降、15年以上にわたり「Pages」の機能を駆使したグラフィックアート制作を独学で探求・実践し続けてきたが、その手法は長らく非公開とされてきた。「Pages」によるアート制作は、広告、アパレル、音楽関連など多岐にわたるビジュアルデザインに応用され、東京のアンダーグラウンドカルチャー・シーンにおいて唯一無二の存在感を放つ。その表現力が高く評価され、2011年には、自身がフロントマンを務めるバンド“PLASTICZOOMS”が、写真家・荒木経惟とラグジュアリーブランド「JIL SANDER」による誌面コラボレーション企画に起用され、大きな注目を集める。以降、東京コレクションにおけるランウェイでのライブパフォーマンスをはじめ、数多くのドメスティックブランドとのコラボレーションを展開している。2017年には拠点をドイツ・ベルリンに移し、現地のアートシーンおよびクラブカルチャーとの交流を通じて、表現のさらなる深化を図る。そして2024年1月、長年にわたり秘めてきた「Pages」によるアート制作手法を初めて一般に公開。全作品を同アプリケーションのみで制作したサイケデリック・ポップアート展『PAGES ART』を東京で開催する。わずか2日間という短期間ながら、その革新的なアプローチと独自のビジュアル表現は大きな反響を呼び、各方面からコラボレーションの依頼が相次いだ。同年夏には、自身が影響を受けたヴィンテージショップLeeLoo(渋谷)およびJAMMRU(大阪)にてPOP UPイベントを開催。さらに9月にはスウェーデン・ストックホルムにて初の海外個展を実施し世界各国から100名を超える来場者を迎えるなど、その活動はグローバルな広がりを見せている。現在、SHO ASAKAWAのアートは、音楽・ファッション・現代アートの領域を自在に横断しながら、国内外の多様なクリエイターや観客から熱い注目を集め続けている。

©︎SHO ASAKAWA
【開催概要】
SHO ASAKAWA個展『“PAGES ART” EXHIBITION 2025 SUMMER IN TOKYO』
会期:2025年7月26日(土)~8月17日(日)
会場:WISH LESS gallery(東京都北区田端5-12-10)
開廊時間:木曜~日曜 12:00~18:00
休廊日:月曜~水曜
電話:03-5809-0696
入場料:無料イベント
オープニングレセプション:7月26日(土)18:00~20:00