知覚とコミュニケーションの境界を探る。中村馨章の個展『Cyborg Butterfly: Threshold』が 6月5日より銀座にて開催
2026.05.15

現代美術家、中村馨章(なかむら・よしあき)による個展 『Cyborg Butterfly: Threshold』が、ホワイトストーンギャラリー銀座新館にて2026年6月5日(金)より開催。 本展はホワイトストーンギャラリーにおける4回目の個展となる。
中村馨章の芸術実践の根幹をなすのは、聴覚/視覚といった知覚の境界線を模索し、自己/他者との新たな対話の可能性を切り拓くこと。幼少期からの感音性難聴により 2000年に一度は完全失聴した中村だが、2012年に人工内耳を装用したことで世界観が劇的な変貌を遂げる。視覚のみのモノクロームの世界が、より彩りと騒めきに満ちた多層的なものとして迫ってきたのだ。
今展は、「Cyborg Butterfly(サイボーグ・バタフライ)」と「Threshold(閾値)」、のふたつのシリーズで構成される。
「Cyborg Butterfly」は、「異なる感覚間の対話の可能性」の探求を、絵画表現からさらに発展させたもの。全作品に骨伝導スピーカーが内蔵されている。描かれた蝶の一部に触れることで立ち現れるのは、視覚的な残響としての「音」。人工内耳の装用によって作家自身が経験した感覚の変容を、視 覚・聴覚・触覚を通じて実感できる作品群である。
一方、「Threshold」は、観る者の内省を促し、音の視覚化を喚起する参加型インスタレーション。 作品の形式よりも、観る者との関係性や相互作用を重視。リレーショナル・アートをさらに拡張させる試みである。
日本画に音響要素を採り入れ、自らの作品を介在させることで、未知の「知覚」と「コミュニケーシ ョン」の閾値を問う中村馨章。通底するのは「身体の変容」、「音と沈黙」、そして「日本の美意識」である。
予定不調和な知覚の在り様と微量なゆらぎ、その境界がひらかれていく過程を、本展で体感して欲しい。
*絵画に触れて体験できる機会は、6月5日(金)のレセプション、および6月20日(土)のイヴェントに限定されている。

中村馨章《Cyborg Butterfly 4》2026、60.6 × 50.0 cm、アクリ ル絵の具・和紙・銀箔・染料・本朱・銅線・ホログラムパウダー・ カーボンファイバー・骨伝導スピーカー・蛍光塗料
【プロフィール】
中村馨章(YOSHIAKI NAKAMURA)
中村は2015年に東京藝術大学日本画博士後期課程、2020 年には米国メリーランド・インステチュート・カレッ ジ・オブ・アートの大学院を修了した。中村は人々の間 に存在する聴覚と視覚に関わる音とコミュニケーション における接点や限界を探求し、初期の日本画から、自己 と他者の間を隔てている境界線を無意識に暗示させてき た。この世界は聴覚障碍者としての静かな世界の様相を 反映している。 また2012年12月より右耳に人工内耳を装用したことによ り、音声、視覚、および時間の知覚には大きな変化があり、現在の作品の色彩と空間感覚、また言語感覚、コミュニケーションにおいて強い影響を与えてい る。

【関連イベント】
・オープニングレセプション
2026.06.05 (金) 17:00-19:00 個展を記念して、オープニングレセプションを開催。どなた様も参加可能。 「Cyborg Butterfly」シリーズを実際に触れて体験できる貴重な機会となる。 *アーティスト在廊、ドリンクサーブあり。
・トーク・イヴェント
2026.06.20 (土) 15:00- 個展を記念して、美学者の伊藤亜紗氏とのトーク・イヴェントが開催されます。 実際に作品に触れながら、2人のトークを聞くことで、制作への理解が深まる催しです。 身体感覚を通して作品を体験できる機会は限られていますので、ぜひご参加ください。
会場:ホワイトストーンギャラリー銀座新館
登壇者:中村馨章(アーティスト)、伊藤亜紗(美学者)
参加費:無料
定員:20名
お問い合わせはこちら: cs@whitestonegallery.jp
【開催概要】
タイトル:中村馨章『Cyborg Butterfly: Threshold』
会期:2026年6月5日(金)〜6月27日(土)
会場:ホワイトストーンギャラリー銀座新館(東京都中央区銀座6-4-16)
時間:11:00 – 19:00
休館日:日曜 / 月曜