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【6月9日より開幕】日本で10年ぶりとなるオラファー・エリアソンの個展が東京都現代美術館にて開催

2020.06.08

オラファー・エリアソン《人間を超えた青いレゾネーター》2019年
Photo: Jens Ziehe
Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles

 

開催延期になっていたオラファー・エリアソン「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」が会期を延期して6月9日(火)より開幕。

アイスランド系デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソンの個展が東京都現代美術館にて開催される。本展覧会「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」は、日本で10 年ぶりとなる大規模な個展となる。

オラファー・エリアソン(1967 年生まれ)は、アートを介したサステナブルな世界の実現に向けた試みで、国際的に高い評価を得てきた。本展覧会は、エリアソンの再生可能エネルギーへの関心と気候変動への働きかけを軸に構成される。それは展覧会のタイトルにも反映されている。エリアソンは言う。「〈ときに川は橋となる〉 というのは、まだ明確になっていないことや目に見えないものが、たしかに見えるようになるという物事の見方の根本的なシフトを意味しています。地球環境の急激かつ不可逆的な変化に直面している私たちは、今すぐ、生きるためのシステムをデザインし直し、未来を再設計しなくてはなりません。そのためには、あらゆるものに対する私たちの眼差しを根本的に再考する必要があります。私たちはこれまでずっと、過去に基づいて現在を構築してきました。私たちは今、未来が求めるものにしたがって現在を形づくらなければなりません。伝統的な進歩史観を考え直すためのきっかけになること、それがこうした視点のシフトの可能性なのです。」

オラファー・エリアソンは 1990 年代初めから、写真、彫刻、ドローイング、インスタレーション、デザイン、建築 など、多岐にわたる表現活動を展開してきました。本展は、エリアソンの代表作を含む、多くが国内初公開となる 作品の数々で構成されています。植物や木を用いたインスタレーション、光と幾何学に対する長年の関心が反映された彫刻、写真のシリーズ、ドローイングと水彩画、公共空間への介入をめぐる作品等が展示される。

エリアソンは、幼少期に多くの時間を過ごしたアイスランドの自然現象を、長年にわたり撮影してきた。《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》(2019 年)は、過去20年間の氷河の後退を鑑賞者に体感させる作品だ。また、私たちと自然との複雑な関係をめぐる思考が反映されたエリアソンのインスタレーションは、光、水、霧などの自然現象をしばしば用いることによって、周りの世界を知覚し、世界をともに制作する方法について、私たちひとりひとり の気づきをうながしている。さらに、本展覧会では、最初期の代表作として、暗闇の中に虹が現れる《ビューティー》 (1993 年)をご紹介する。アトリウムの吹き抜け空間と展示室に隣接するサンクン・ガーデンでは、大規模なインスタレーションが本展のために制作される。

スタジオ・オラファー・エリアソンの活動は美術作品の制作に限定されず、日々、実験とリサー チ、コラボレーションによって、さまざまなアイデアやプロジェクトが開発されている。本展覧会では、サステナブルな生分解性の新素材やリサイクルの技術に関する近年のリサーチの一部がご紹介される。

展覧会カタログには、本展キュレーターの長谷川祐子による論考と、エリアソンと哲学者のティモシー・モートン との対談が収録される。

 

オラファー・エリアソン《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》2019年  Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles  © 2019 Olafur Eliasson  Photo: Michael Waldrep / Studio Olafur Eliasson

(上)アイスランドの自然を 20 年以上にわたり撮影し続けてきたエリアソンが、過去 20 年間の氷河の大きな変化を目に見えるかたちで示す。

 

オラファー・エリアソン《サンライト・グラフィティ》2012年  Installation view: Tate Modern, London  Photo: Zan Wimberley, 2019  Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles

(上)誰もが「リトルサン」に蓄えられた太陽の光で自由にドローイン グを描ける《サンライト・グラフィティ》(2012 年)。その他にも作品におけるソーラーエネルギーの利用、作品の輸送における二酸化炭素排出量の削減など、展覧会のさまざまな側面で環境に配慮している。

 

<オラファー・エリアソン Olafur Eliassonプロフィール>
1967 年、コペンハーゲン(デンマーク)生まれ。現在、ベルリンとコペンハーゲンを拠点に活動。アイスランドとデンマークで生まれ育ち、1989 年から 1995 年までデンマーク王立美術アカデミーで学ぶ。1995 年、ベルリンに渡り、スタジオ・オラ ファー・エリアソンを設立。スタジオは現在、技術者、建築家、研究者、美術史家、料理人等、100 名を超えるメンバーで構成されている。2014 年、建築家のセバスチャン・ベーマンと共同でスタジオ・アザー・スペーシズを設立。光や水、霧などの自然現象を新しい知覚体験として屋内外に再 現する作品を数多く手がけ、世界的に高く評価されている。 テート・モダン(ロンドン)で発表した《ウェザー・プロジェクト》(2003 年)やニューヨークのイースト川に人工の滝を出現させたパブリックアート・プロジェクト(2008 年)等、大規 模なインスタレーションで広く知られている。近年は、電力に アクセスできない地域に住む人びとに届けられる携帯式のソーラーライト「リトルサン」(エンジニアのフレデリッ ク・オッテセンと共同開発)や、グリーンランドから溶け落ちた巨大な氷を街なかに展示することで人びとに気候 変動を体感させる「アイス・ウォッチ」(地理学者のミニック・ロージングとの共同プロジェクト)といった社会的 課題をめぐる取り組みにも力を注いでいる。
日本での主な個展は原美術館(2005 年、東京)、金沢 21 世紀美術館(2009-10 年、石川)がある。

 

Photo: Brigitte Lacombe, 2016
© 2016 Olafur Eliasson

 

【開催概要】

タイトル:オラファー・エリアソン ときに川は橋となる

会期:2020年6月9日(火)- 9月27日(日)   10:00-18:00(展示室入場は閉館の 30 分前まで)

休館日:月曜日(8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日

会場:東京都現代美術館  企画展示室 地下2F 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)

観覧料:一般 1,400 円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1,000 円 / 中高生 500 円 / 小学生以下無料