ロサンゼルスと東京を拠点に活動するBAKENEKOの東京で初の個展が原宿で開催
2025.06.02

BAKENEKO(バケネコ)による個展「NOWHERE」が、原宿のtHE GALLERY HARAJUKUで開催。
東京で初めてとなる個展ではBAKENEKOの色彩豊かなキャラクターたちが、”NOWHERE”(どこにもない)から”NOW HERE”(いまここ)への存在の肯定を描き出す。
■アーティストステートメント
正直なにも考えず黙々と描いてきた絵だが、振り返るとその中には、自分が過去に経験してきた孤独感、 アイデンティティの喪失、 そしてどこにも属せない思いを感じた。
展示されている作品は、 見失われた居場所、そして見えない未来への不安を表現しながらも、 どこか明るく、遊び心のある要素を交えている。 表現豊かでカラフルなキャラクターたちの裏には、 常に自分の存在や意味を必死に探し求める苦しさと、その愚かさが描かれている。
自分という存在の居場所が “NOWHERE (どこにもない)”こと。 そして、それを探し求めることの 虚しさを見つめながらも、 “NOW HERE (いまここ)” に確かに生きているという事実がある。
たとえはっきりとした居場所や意味はなくても、僕たちは「いまここ」に生きていることの大切さに気づく 必要がある。 だからこそ「NOWHERE」というタイトルにした。
何においても意味なんて後付けでいいと思う。
■キュレーターコメント
「かわいい」の仮面を剥がす手つきで——BAKENEKOという名の異物
BAKENEKOは、ただの“キャラクターアーティスト”ではない。
彼の作品は、一見すれば愛らしく、ポップで、記号的にも「よくある」キャラクター像に見える。だが、その奥に潜むのは、キャラクターという存在が抱える構造的な暴力、そして消費社会の欲望装置に対する痛烈な問いかけだ。
彼の作中キャラクターは、しばしば自分自身の存在意義を疑い始める。
「わたしは誰かの“好き”のために生きているのか?」
そんな声なき声が、無垢な造形の表面をゆっくりとひび割らせていく。
そこにあるのは、単なるアイコンの生産ではなく、“キャラクターであること”そのものを内破するアートの構築だ。
BAKENEKOの魅力は、あくまで“かわいらしさ”を手放さない点にもある。
彼の作品は、明らかに“売れる”素養を持ち、“愛される”記号を纏っている。だがそれは罠だ。鑑賞者が無邪気に「かわいいね」と言ったその瞬間、作品は静かに反転し、問いを投げ返す。
「その“好き”は、わたしを殺していないか?」
このように、BAKENEKOのキャラクターはただ愛玩されるだけの存在ではない要素を持つ。
彼らは、消費されながらも、そこに内在するシステムを生きながら暴露し続ける、批評的存在だ。
現代の“キャラ化された社会”において、BAKENEKOの作品はその最深部に一滴の毒を垂らす。
それは小さな違和感として心に残り、やがて問いとなって成長するだろう。
彼は、現代キャラクターアートの「次の段階」を、すでに踏み出している。
BAKENEKOは、かわいらしさの皮を被った異物である。
そして今、この時代にこそ、私たちはその異物を必要としているのかもしれない。
米原康正
【プロフィール】
BAKENEKO
2000年、東京生まれ。日米にルーツを持ち、2020年に東京でアーティスト活動をスタート。 ストリートアートから活動を始め、拠点をアメリカに移してからは、 デジタルアートでの独自のスタイルが注目を集め、2021年にシアトルで初の個展を開催。
現在はロサンゼルスと東京を拠点に、デジタル作品に加え、フィジカルな作品制作にも力を入れている。 2025年は東京を拠点としつつ、展示やインスタレーション、 アートディレクションやブランドとのコラボレーションなど、国内外で活動を継続し、 グローバルに活動中。
本展は、2021年以来となる個展、東京では初の個展開催となる。
nstagram:@ bakeneko.bakeneko
【開催概要】
タイトル:BAKENEKO SOLO EXHIBIT “NOWHERE”
会場:tHE GALLERY HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前3-20-21 ベルウッド原宿 1−C)
会期:2025年5月31日(土) ~ 6月15日(日) *月・火曜日休廊
時間:11:00〜19:00