【終了】上海のニューメディアアーティスト、ルー・ヤンの日本初となる大規模個展開催
2017.10.22
Lu Yang《電磁脳神教》(2017)
中国・上海を拠点に活動するニューメディアアーティスト、ルー・ヤンの日本初大規模個展 「電磁腦神教 - Electromagnetic Brainology」が2018年1月5日より開催される。
ルー・ヤンは、科学や精神世界について、映像、インスタレーション、アニメーション、ゲーム、3DCGなど、デジタルメディアで表現するミレニアル世代を象徴するアーティスト。2015年に「ヴェネツィア・ビエンナーレ」中国館の出展作家に抜擢され、本年夏には「アジア回廊 現代美術展」(京都芸術センター)に参加し、一度目にしたら忘れられない強烈なインパクトの映像作品で、その存在感を示している。
「文化や社会背景に依存なく、すべての人間に共通するもの」として身体を捉えるルー・ヤンは、身体や臓器、脳や神経の反応などを生々しいままに作品内に用い、ときにその過激な表現が先行して話題となるが、作品は一貫して、生命の儚さやもろさ、現代社会にはびこる様々な歪みを感覚的に解消しようとする思いにあふれている。
本展では、信仰の対象となる神をモチーフとした映像インスタレーションと、作家本人が以前から興味を持っていた日本のアイドル、ちゃんもも◎(バンドじゃないもん!)を起用し、ミュージックビデオ風に仕立てた新作映像作品を発表。本作では、「脳と意識」に焦点を当て、科学と意識、現実と想像の境目を、現代人が慣れ親しむゲームやミュージックビデオなどのエンターテイメント要素・技法を取り入れ可視化し、ユーモラスな映像作品として昇華させる。
【見どころ】
若手中国アーティストが見る、いまの世界、いまのニッポン
ルー・ヤンの作品の随所には、作家本人が幼い頃から親しんでいるという日本の漫画やアニメーションの表現技法が見受けられ、さらに本展で発表する新作映像には、日本のアイドルを起用する。ドメスティックに発展を遂げてきた日本のアニメーションや漫画、アイドル文化を、中国のアーティストが作品に引用するその事実は、所謂「サブカルチャー」と言われる近年の日本文化の分野が、今日、世界のクリエーションに多大な影響を与えていることを実感させてくれることだろう。
度肝抜く展開、極端な映像表現に込められる現代の信仰心
「世界を理解するために、ある人は難しい哲学書に挑むかもしれないけれど、私の場合はアニメや漫画から深いものを学ばせてもらった。自分の作品もそういうものになれたら‥」と語るルー・ヤン。二次元の世界に自分を重ね合わせ、そこに自らの存在を見出す人も少なくない現代社会において、ルーヤンが作り出すその映像世界は、現代におけるこころの拠りどころ、新たな信仰心のかたちなのかもしれない。
【プロフィール】
ルー・ヤン(Lu Yang / 陸 揚)
1984年、中国生まれ。2010 年に中国芸術院を卒業し、現在は上海を拠点に活動。科学、生物学、宗教、大衆文化、サブカルチャー、音楽など、さまざまなテ ーマを主題とし、映像やインスタレーション、デジタルペイントを組み合わせた作品を制作。近年の主な個展に「ポート・ジャーニー・プロジェクト 横浜⇆上海 ルー・ヤン展」(象の鼻テラス、神奈川、2016年)、「LU YANG Screening Program」(アーツ千代田3331、東京、2013 年)。グループ展に「ヴェネツィア・ビエンナーレ」(2015年)、「A Shaded View on Fashion Film」(ポンピドゥーセンター、パリ、2013年)などがある。
【開催概要】
タイトル:ルー・ヤン展「電磁腦神教 - Electromagnetic Brainology」
会期:2018年1月5日(金)~1月22日(月)11:00~20:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)(東京都港区南青山5-6-23)
入場:無料