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イタリア人女性アーティストを中心に22名の作品を紹介。イタリア文化会館で現代美術展が10月22日まで開催

2026.09.18

マリアグラツィア・ポントルノ 《天空のレバノン杉》 2014年
3D アニメーションビデオ 協力:作家、パッサッジ・ギャラリー ファルネジーナコレクション

イタリア現代美術を対象としたイタリア有数の公的コレクション、「ファルネジーナコレクション」の25周年を記念し、イタリア現代美術展「境界を越えるアイデンティティ 人間と自然の対話 ファルネジーナコレクション」が、2イタリア文化会館エキジビションホールにて開催中だ。

主に1970年代から現代に至るまで美術界で大きな存在感を示してきた、イタリアを代表する女性アーティストたちの作品に焦点を当てて、絵画、写真、映像、インスタレーションなど多様な形式による22名の作品計37点を展示する。本展は、イタリア共和国外務・国際協力省がイタリアの文化を海外に紹介する文化普及事業の一環として企画するもので、今回の日本展は、ヨーロッパ外で初の展示となる。

エリーザ・モンテッソーリ 《エミリー・ディキンソン》 2017 年
アーティスト・ブック/水彩絵具、墨/紙 30×19 cm 協力:作家、モニター・ギャラリー (ローマ、リスボン、ペレート)

■展覧会タイトルについて

本展のタイトル「境界を越えるアイデンティティ(Identità oltre confine)」には、「アイデンティティ(identità)」「越える(oltre)」「境界(confine)」という3つの言葉を通して、これまでの固定的な「帰属」の捉え方を問い直す意図が込められている。

「アイデンティティ」は、決して固定されたものではなく、記憶や他者との関係、対話などを通じてつねに形成され続ける、流動的なものだ。次に「越える」が示すのは、地理的な境を越えることではなく、異なる言語、文化、記憶などのあいだにある隔たりを越え、出会い、対話し、互いに影響を与え合う「その先(oltre)」だ。こうした出会いや関係の中で「アイデンティティ」はさらに変化していく。また、「境界」は何かを隔てる一本の線としてではなく、異なる二つの現実が接し、新たな関係や出会いを生み出す場として捉え直される。そこでは、違いは消されるのではなく、対話を通じて可視化される。本展自体もまた、異なる作品や世代、文化、価値観が出会い、対話し、互いに新たな関係を生み出す「境界」として構成されている。

マリアグラツィア・ポントルノ《天空のレバノン杉》 2014 年
3D アニメーションビデオ/ 協力:作家、パッサッジ・ギャラリー /ファルネジーナコレクション

■本展のテーマについて

本展は、環境危機、移民、地政学的不安、深刻な文化変容を特徴とする現代において、アイデンティティを多角的に考察することを目的に、「抵抗の根」「離脱の地理学」「不安定な生態系」という3つのテーマ・セクションで構成されている。

「抵抗の根」では、文化的な抑圧に対する抵抗、女性のアイデンティティの奪還、権力の力学に対する告発、いかに支配的な文化が人間と日常生活の均衡をゆがめてきたかなど、さまざまな観点・形式から抵抗を表した作品を展示する。「離脱の力学」では、急速に進行しているグローバル化により個人的・集団的なアイデンティティが揺るぎ、さらに自然界からの分離が進むにつれて人間の内面にも危機が生じていることへのアーティストたちからの緊張をはらんだ応答が示されている。「不安定な生態系」は、今現在の環境危機、社会危機について考察するもので、気候変動や天然資源の搾取、不平等といった主題に取り組む。地政学的で文化的な争いが地球や住民たちに及ぼす影響を見据えたうえで、回復・変容・再生の可能性についても多面的な視座を提示する。

本展では女性アーティストの作品が大半だが、キュレーターは、今回の展示作品はアーティストの性別によってではなく、テーマに沿った綿密な分析によって選定されており、結果として、これらのテーマを扱っているのが主に女性アーティストであることが明らかになったと述べている。

エレナ・マッツィ 《クジラのリュックを背負った自画像》 2018 年
ファインアート写真 66×100 cm © エレナ・マッツィ 協力:作家、エクス・エレットロフォニ
カ・ギャラリー ファルネジーナコレクション

■ファルネジーナコレクションについて

ファルネジーナコレクションは、イタリア外務・国際協力省が所蔵する、イタリア現代美術を対象としたイタリア有数の公的コレクションのひとつで、当時のウンベルト・ヴァッ3ターニ事務次官の発案により設立された。この名称は同省の庁舎であるファルネジーナ宮に由来する。

700点以上の所蔵作品を通して、20世紀から21世紀に至るまでのイタリアの芸術表現の歴史をたどることができる。

当コレクションは、イタリア現代美術をより多くの人々に届け、作品と世界各地の文化的背景との出会いを促進することを目的としており、各展覧会は、芸術の力を通じて、アーティスト、文化機関、そして来場者が新たな関係を築いていく交流の機会となり、かつ現代のイタリアを伝えることを可能にしている。

7月と8月を除く毎月最終金曜日に無料で一般開放されており、また、作品はデジタルアーカイブでも公開されている。

エレナ・ベッラントーニ《キツネとオオカミ 主導権をめぐる争い》 2014 年
フル HD ビデオ(7 分 58 秒)、パフォーマンス時の写真 6 枚とマスク 38×46.5 cm(各写真)  Foto © Modestas Endriuška 協力:作家 ファルネジーナコレクション


【開催概要】

タイトル: イタリア現代美術展「境界を越えるアイデンティティ 人間と自然の対話ファルネジーナコレクション」

会場 : イタリア文化会館 エキジビションホール(東京都千代田区九段南 2-1-30)

会期 : 2026 年 9 月 12 日(土)~10 月 22 日(木)

時間: 10:30~17:30

休室日 : 日曜日

料金:無料