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鑑賞者とのユニークな出会いを促す「創造的な出会いのためのテーマ別展示」がUESHIMA MUSEUMにてスタート

2025.06.23

ジェームズ・タレル「Boris」2002年

2024年6月に開館したUESHIMA MUSEUMにて、新コレクション展「創造的な出会いのためのテーマ別展示」が開催。

2024年6月に開館した同美術館では、「同時代性」をテーマに国内外の幅広いアーティストの現代アート作品のコレクションを行うUESHIMA MUSEUM COLLECTIONの700点を超える作品の中から、様々なテーマに沿って選び抜いた作品を観ることができる。

第2回コレクション展となる本展では、2025年3月まで金沢21世紀美術館の館長を務めていた長谷川祐子氏のキュレーションにより、展示内容を刷新。また、ジェームズ・タレルのインスタレーション作品を常設展示として新たに公開する。

 

【展示内容】

■地下:宇宙と重力
地球という「ガイア」へのまなざし、そして人知を超えた宇宙への憧れ——エコロジカルな感性の高まりのなかで、私たちは再び〈重力〉という根源的な力に引き寄せられつつある。地下展示室では、土や生の素材を用いて、物質が神聖な存在へと変容する瞬間を「ギャラクシー」と名づけたボスコ・ソデイの作品、惑星の肖像を通して途方もない時間と空間を体現するロバート・ロンゴの「惑星シリーズ」など、壮大な宇宙観が展開される。重力に引かれ、しかし意識は彼方へと放たれる、そんな二重性の体験を導く空間だ。

ボスコ・ソディ「untitled (Urushi Series)」2015年

■1階:都市とポップ
新たに開かれた窓からは、渋谷の都市の躍動が呼吸するように流れ込んでくる。その都市のリアリティと響き合うように、1階ではポップアートを中心とした展示を構成。アンディ・ウォーホルによる、日常の中の物象に向けたクールで鋭い眼差しを出発点に、日本独自の「ネオテニー的ポップ」ともいえる奈良美智が、北斎の浮世絵とランデヴーするような出会いを見せる。さらに、ストリートからの詩的反抗として立ち現れるバンクシーまで、都市とポップの多様な位相が交差する。

草間彌生「今こそわが芸術のおとづれをまっているワタシ ハナバナしいわが心のナグサメのおとづれをまっている いつ年月をえてしらぬまにわたしは 今日のわたしはさみしかったので空の白いクモみつめたのだ / I who await the arrival, any moment now, of my art Awaiting the arrival of my heart’s glorious consolation Years passed before I knew it Because I felt lonely today I watched a white cloud in the sky」2021年

■2階:ゲルハルト・リヒターとジェームズ・タレル
2階の中心スペースで、ゲルハルト・リヒターの作品群によって構成される空間は、物質性とイメージの間に漂う揺らぎを静かに照らす。さらに今回から、ジェームズ・タレルによる新たな常設展示室が加わる。光と知覚の相互作用を体験として捉えるその空間は、「見る」という行為の根本に立ち返り、視覚と精神の境界を曖昧に。光はもはや対象ではなく、思考そのもののメディウムとなる。

ゲルハルト・リヒター「Kanarische Landschaften I [Canary Landscapes I (Butin 39)]」1971年

■3階:幾何と内省のコンポジションー常温の抽象
目まぐるしく変化し、刺激に満ちた現代社会にあって、私たちはしばしば「静けさ」や「中庸な温度」を希求する。3階の展示では、くつろぎと緊張を同時に誘う幾何学的な抽象絵画が並びます。これらの作品は、感情の高ぶりを抑え、内省的な思索へと鑑賞者を導く。そこにあるのは、感情を声高に表現するのではなく、沈潜することによって感じる「常温」の美だ。

アンセルム・ライル「untitled」2005年

■4階:ナラティヴと色彩のアウラ
この階では、アフリカ作家を含む多様な国籍のアーティストたちによる、個々の生や歴史の語り(ナラテイヴ)が力強く展開される。鮮やかな色彩と大胆な構図で構成された具象作品のあいだに、ベルナルド・フリーズらによる、色彩そのものの気配——アウラ——をとらえた抽象作品を挿入することで、イメージと抽象の境界が絶えず揺らぎ、観る者の内に物語と詩情を同時に呼び起こす。

ウマー・ラシッド「Payback is a motherfucker. The final death of Harlem Carl. Or, in another time, he would have outlived us all.」2022年

■5階:物質と感情のエンタングルメント
愛と欲望、リビドーと記憶――それらをめぐる複雑な情動が、物質とイメージの絡まり(エンタングルメント)として表現されるのが5階の空間だ。ジャン・ミッシェル・オトニエルによる赤いガラス作品が放つ官能的な輝き、水戸部七重によるヨーコとレノンの愛の肖像など、いずれも「愛」を主題としつつ、それをただ一義的には描いていない。グリッチ、ノイズ、ハイブリディティといった現代的感性を纏ったそれらの表現は、現代の私たちの複雑で少し歪んだ欲望や人間関係を繊細に、挑発的に映し出す。

ジャン・ミッシェル・オトニエル「pink Lotus」2015年

 

【展示予定アーティスト一覧】

アグネス・マーティン、アレクシス・ロックマン、アンセルム・ライル、アンディ・ウォーホル、池田亮司、ウマー・ラシッド、オラファー・エリアソン、加藤泉、葛飾北斎、カプワニ・キワンガ、ギデオン・アパー、草間彌生、ケリス・ウィン・エヴァンス、ゲルハルト・リヒター、シアスター・ゲイツ、ジェームズ・タレル、塩田千春、ジャン・ミッシェル・オトニエル、ジョン・マディ、スプツニ子!、タカノ綾、多田圭佑、ダミアン・ハースト、ダン・フレイヴィン、teamLab、トーマス・シュトゥルート、トルクワセ・ダイソン、トレイシー・エミン、奈良美智、名和晃平、ニコラ・ビュフ、ハロルド・アンカート、バンクシー、ピウス・フォックス、ベルナルド・フリーズ、ボスコ・ソディ、マーク・クイン、マーク・ライデン、マイケル・ケーガン、松谷武判、水戸部七絵、村上隆、モーゼス・ジボル、山田康平、山田正亮、油野愛子、ライアン・ガンダー、ライアン・サリバン、ルイーズ・ブルジョワ、ロバート・ロンゴ、ロベルト・ペレ、ワハブ・サヒード

 

【開催概要】

タイトル:創造的な出会いのためのテーマ別展示

会期:2025年6月21日(土)~

会場:UESHIMA MUSEUM(東京都渋谷区渋谷一丁目21番18号 渋谷教育学園 植島タワー)

入館料(税込): 一般 1,800円、中高生 500円、小学生以下 無料 (日本国内在住者)

開催時間: 11:00-17:00 (最終入場16:00)

休館日: 月曜(月曜が祝日の場合は開館、翌平日休館)

日時指定チケット購入:https://ueshima-museum.com/#area-3