INTERVIEW

HOME > INTERVIEW > Atelier506 > Mark Drew インタビュー:ソロエキシビション開催中のシドニー出身アーティスト

Mark Drew インタビュー:ソロエキシビション開催中のシドニー出身アーティスト

2017.04.28

ピーナッツ(スヌーピー)のキャラクターと90年代HIP HOPのリリックを組み合わせた作品で知られるマーク・ドリューが六本木のClear Editionでエキシビションを開催。シドニーで生まれ育ったマークのクリエイティブのバックグラウンドや、7年以上に及ぶ東京での活動を通して彼が感じている日本のアートシーンについて聞いてみた。

 

————シドニーで育ったそうですが、子供の頃からアートには興味があったのですか?

MARK「あったよ。でも、それが”アート”だとは思ってなくて、ただの”お絵描き”だったけどね。で、小学校に入ってキース・へリングの絵を初めて見て、ルネッサンスの伝統的な油絵でもなく、自分と何も繋がりのないものじゃないアートに対してもっと興味を持つようになったんだ。デザインやグラフィックに関しては、1986〜1988年に大流行したスケートボードに影響を受けているね。自分のファンタジーのボードのグラフィックをデザインして、有名メーカーのロゴをつけて学校のノートに描いたりしてたんだ。ブートレグのポスターを作ってベッドルームに貼ったり、ロゴをコラージュしたり…。1989年はバットマンが大流行した年で、バットマンのロゴもたくさん描いてたよ。そんな感じで、デザインと”アート”は自分にとって最初から完全に繋がっているもので、今でもエキシビションや作品のシリーズを考える際のアプローチの方法でもある」

————HIP HOPにハマったきっかけは? どんなアーティストが好きだったんですか?

MARK「さっき話したスケートボードのブームと同じ頃に、オーストラリアのキッズもブレイクダンスに興味を持つようになったんだ。スケートボードの雑誌は、写真のバックにグラフィティがあることが多くて、あとはハリウッドの映画の『Electric Boogaloo』とかの映画を通してブレイクダンスとグラフィティが関係していて、音楽でその2つが繋がって、HIP HOPという総称で呼ばれているということが分かったんだ。すっかりハマってしまったよ。なぜか、兄貴の1人がRun DMCのアルバム『Raising Hell』を持っていたんだ。ビースティーボーイズやあの頃あった”Stutter Rap”とかのパロディラップ以外に初めて聴いたもの(ラップ)だった。それがきっかけで、NWAやIce-T、パブリックエネミーを知って、シドニーやメルボルンの線路に描かれたグラフィティをもっと注意深く見るようになったんだ。『Beat Street』を何度も何度も観て、『Wildstyle』や『Style Wars』のドキュメンタリーを発見した。1992年に家族旅行でアメリカに行って、自分が今まで観て来たものが自分にとって重要なものになっていった。その頃には学校の友達はもう誰もHIP HOPには興味がなくなっていた。だから、自分だけこのシークレットの世界を見つけたような気がしたよ。世間的にはすでに全然シークレットなものじゃなかったけど、その時もHIP HOPは自分とカルチャーとの繋ぐものだったんだ」

————Zineを作っていたそうですが、どのような内容をカバーしていたのですか?

MARK「1994年からこれまでに40冊のZineを作ったよ。最初の頃は、グラフィティとHIP HOPがデーマだった。コピーでクオリティが低くて、手でコラージュして、パソコンは最低限使っただけ。だけど、このおかげでインターネットもない時代にまだ一般によく知られていない世界に関わることができた。一番最初の号(高校の図書館でコピーして作ったもの)は、僕はまだ15歳だった。年上の人たちの気に入ってもらって、その人たちが当時オーストラリアではなかなか手に入らなかったアメリカから輸入した音楽をたくさんくれるようになったんだ。ラジオに呼ばれるようになったりもしたし、自分の時間を何か生み出すことに使い、他の人にも自分たちがクールだって思う事を作り続けることを後押ししてコミュニティの一部になれるのがとても嬉しかった。そういう気持ちが、その何年か後のギャラリーのオープンにも繋がっていると思う。その他のZineのいくつかは、個人的な記事だったり、グラフィックや写真のZineだったり、自分のエキシビションを合わせて、エキシビションのコンセプトをより掘り下げたものだったりという感じ。今でも時々作っているよ。だけど、僕にとってZineを発行してよかったことは、インターネット以前に他の人と繋がることだったんだ。90年代の半ばから終わりの話しさ」

————先ほども話しが出たように銀行に勤めた後、China Heightsというギャラリーをオープンしましたが、そこではどんなアーティストをキュレートしたり、プロデュースしたりしたのですか?

MARK「ギャラリーをオープンした理由は、シドニーですでにそういうシーンがあったからだよ(2003年頃)。だけど、(シーンを)大きくしていくような永続的な場所がなかったんだ(ほとんどがPOP UPイベントだった)。だから、キュレーションというよりは、場所を提供するって感じだったよ。好きな事をしていい空間。多くの友達が僕が好きないい作品を作っていたんだけど、ほとんど知られていなかった。だから、最初の数年間はとてもエキサイティングだったよ。毎週、聞いたことがないアーティストの新しいショウをしてた。一緒に飲んだ事はあるけど、作品を作ってるなんて知らなかった人たちのね。こういったエネルギーのおかげで、海外のアーティストが興味を持つようになってくれて、自分たちが好きなまだ知られてないアーティストとMr.CartoonやMarc Mckee、Sean Cliver等のとても有名なアーティストを同時に展示するようになったんだ」

————自分の作品を作るようになってからは、何からインスピレーションを得ましたか? ピーナッツのキャラクターと90年代のHIP HOPとのコンビネーションは、どのようなきっかけでスタートしたのですか?

MARK「さっきも言ったことと同じような感じなんだけど、ティーンエイジャーでZineを作っていて、HIP HOPカルチャーにハマっていて、友達はパンクのイベントをやっていて、スケートボードをやっていた。それらすべてのシーンで積極的な関わりを持つことになるのが普通だった。だから、自分の作品を見せるとは特に難しいことには感じなかったんだ。自ら参加するシーンだったから、参加したって感じだね。自分のやってることをコミュニティに見てもらうことは自然なことだった。最初はグループショウに参加するだけだった。だけど、ギャラリーと仕事をしているうちに、たくさんのアーティストのスタジオを訪れる機会を持つようになった。そこで、いろんなテクニックを覚えて、彼らのショウの作品を完成させる手伝いもするようになった。たぶん、それがグループショウに楽しみのために参加するだけでなく、自身のより大きなソロ・エキシビションへのインスピレーションになったんだと思う。このピーナッツシリーズは深い意味もあるんだけど、基本、サンプリングってことだよ。僕が好きな90年代のラップは、違うジャンルの古い曲をサンプルして、全く関係ないものを自分のクリエイションに落としこんでいるんだ。だから、僕の作品は、90年代のラップミュージックの作り方と同じように目に見える形でアートとして制作しているんだ。ピーナッツと90年代のラップは僕にとってとても身近な存在で、このコンビネーションは自分にとって意味があって純粋なものなんだ。だから、他のキャラクターじゃダメなんだよね」

————2009年に東京に引っ越してきて、オーストラリアやアメリカ、ヨーロッパと比べて、日本のアートシーンはあなたにどのように映りましたか?

MARK「日本にはその前に2002年と2007年にバケーションで来てたんだ。最初は、東京にChina Heightsのブランチを作りたかったんだけど、今思うとたぶん成功しなかったと思う。僕が会った日本のアーティストはみんな制作に対してとても真摯で、それは悪い事じゃないんだけど、だけど、日本の一般の人たちはアーティストに対する経済的なサポートという点では、オーストラリアやアメリカ、ヨーロッパの人たちには全く及ばなかった。オーストラリアでは、20歳のキッズが絵を買う事もあるけど、日本ではあまり想像できないね。アートを買ってもらうことがシーンを大きくするのだけど。でも、嬉しいことに変わって来ていると思う」

————2009年から日本のアートシーンを見て来て、何かいい点で変わったことは? ストリートアートが世界的にとても注目されていますが。

MARK「いい方向に変わってきていると思うよ。VOILLD、WISH LESS、SO、WAG、Clear Edition、Goya Curtain、SidecoreなどのスペースやZineのブームのおかげで、アートを所有するのは特別なことでも、ある一定の人々がすることでもないってことをみんなが分かってきていると思う。あとは、ビームスのような会社が、普通の人が暮らしの中でファッションだけでなく、アートを所有することを推奨してくれているしね。コレクターから関心を持たれるのはよいことだけど、そこを深く追求しようとは思わない。僕は自分とコミュニティのためにアートを制作しているから。日本人の何人かの有名なコレクターがいくつか僕の作品を買ってくれたのはとても嬉しいよ。でも、もっと嬉しいのは、コレクターが注目したことによって、普通の人たちが自分も絵やプリントを家に飾りたいって思ってくれることだね。そうすれば、ギャラリーも生き残ることができるし、ただの興味の対象ではなく、次の世代が物理的にこのシーンを存続させることができるようになると思うんだ。もちろん、普通の人たちがアーティストの収入を支えなければいけないってことではなく、もし純粋にその作品が気に入ったら、写真を撮って(SNSなどに)アップしてその後は忘れてしまうのではなく、実際に買う人が増えたらいいと思ってるよ。僕の家にあるCleon Peterson、Kyle Montgomery、Barry McGee、Taku Obata、Tohru Matsushimaなどの作品は、毎日立ち止まって見たり、前を通る時にチラっと見たりすると気分が上がるよ」

———新しいエキシビションについて教えてください。どんな感じになるのでしょう?

MARK「90年代のラップにユーモアを加えた感じだね。元ネタは何か分からなくても楽しいと思う。六本木のClear Editionで5月20日までやってるよ」

————最近はどんなことから制作のインスピレーションを得ていますか?

MARK「僕をこのシーンに導いてくれた音楽だよ。KRS-One、ビースティーボーイズ、パブリックエネミーなど、全く同じ音楽だよ。あとは、東京にいて自分が見たり聴いたりしたものを自分のやり方で解釈をしているよ。そういったメンタルなエクササイズが自分自身のクリエイティブな仕事のためになっていると思うよ」

————作品を作っていない時はどのようにして過ごしていますか?

MARK「自転車で東京中を回るのが好きなんだ。5年くらい凄く遠くに住んでいたんだけど、最近都心に戻ってきたんだ。真剣に打ち込んでいるアートが自分の仕事になっているのは嬉しいし、東京の生活を楽しむ時間もたくさんある。東京で何が起きているのかローカルの視点(今でもよそ者ではあるけど)で観ているよ。東京での遊びはとても楽しいし、居心地もよいよ。だけど、時々思うんだ。アートに関しては、買う人が少ないのが問題なんじゃないかなって。公園やアートショウのオープニングに友達と行ったりするのは楽しいんだけど、家に友達を招いて過ごす時間をなかなかないんだよね(だから、アートを買う人が少ないのかも)」

————今後の予定は?

MARK「@markchronic に行けば、すべてのインフォメーションがあるよ…」

 

<English version is below>

Growing up in Sydney, were you always into art as a kid?

– Yes, definitely. I didn’t know it as “art” though, it was just “drawing”. Later in elementary school I saw Keith Haring’s work and that made me more interested in “art”, realizing that it could be fun too, not just the classic renaissance style oil paintings that I appreciated, but had no connection to.

Tracing back design and graphics it leads to skateboarding, which was huge in Australia in 1986-1988. I was designing my own fantasy board graphics and copying the big brands logos onto my schoolbooks, making bootleg posters for my bedroom, collaging logos etc. Anyone else that can remember 1989 would know Batman was about the biggest thing around, I was pretty into drawing his logo too. So from the start design and “art” were completely connected for me, it’s still how I approach things now when planning an exhibition or series of artworks.

How did you get into Hip Hop? Which artists did you like?

– At the same time as the skateboarding boom I mentioned, for a short time Australian youth were interested in Breakdancing. Skateboard magazines would often have graffiti in the background of photos, and through watching Hollywood movies like Electric Boogaloo I’d worked out there was some connection to breaking and graffiti, and that music was what held it all together into this thing called Hip Hop. It really stuck with me. For some reason, one of my older brothers had Run DMC’s Raising Hell album, that was the first thing I had heard, along side Beastie Boys and the novelty rap that was around at the time (like “Stutter rap”). Through that I discovered NWA, Ice-T and Public Enemy, and began paying a lot more attention to the graffiti pieces I saw along the trainlines of Sydney and Melbourne, trying to find more clues about such unknown things. Watching Beat Street over and over again, then finding Wildstyle and the Style Wars documentary. In 1992 I went to the US on a family trip, and that really cemented things for me and the path I’m still on. None of my school friends were interested in Hip Hop anymore, so I felt like I’d found this secret world that really took me in. Even though it’s not so secret anymore, that’s still my connection to the culture.

You used to publish a zine. What did you cover in your zine?

– I’ve made about 40 zines, starting in 1994. The first were about graffiti and hip hop. Very low quality photocopies, hand collaged and minimal use of computers, but it really allowed me to become involved with what was a fairly unknown world, before the internet. I was 15 when the first one was published (aka photocopied in my highschool library), and older guys liked it and would give my friend and I more music to listen to, imported from the US that was very hard to find in Australia at that time. We’d get invited to do radio shows and I discovered I really liked being part of the community in that way, being productive with your time, encouraging others to continue making things they thought were cool – that same feeling is what lead to opening the gallery years later. Some of the other zines were personal writing, or graphic/photo zines, and often would publish something alongside my exhibitions, going a bit deeper into whatever the concept of the exhibition was. I still make them from time to time, but the most fun point of zine publishing for me was connecting with others before the internet was such a big thing, back in the mid-late 90s.

After you worked in a bank, you opened a gallery (China Heights) as you mentioned. Which artists did you work with there? Who did you curate and produce?

– Well, the reason we started the gallery was our scene was already happening in Sydney (around 2003), but there was no permanent place for it to grow (mostly just pop-up events). So it was more about hosting than curating, allowing people to do whatever they wanted with the space. A lot of our friends were making art that we liked, but they weren’t necessarily known. That’s what I found really exciting about the first few years of the gallery actually, every week was a new show by someone you’d never heard of, or maybe you’d been drinking with but had no idea they made art. This kind of energy attracted artists from overseas, so we began to have a mix of unknowns that we liked and much more famous artists like Mr Cartoon, Bigfoot, Marc Mckee/Sean Cliver etc.

What inspired you when you started to create your work for people to see? How did you come up with combination of Peanuts characters and lyrics from 90’s Hip Hop.

– Kind of like I mentioned above, when I was a teenager making zines, getting deeper into Hip Hop culture, and my friends doing punk events and skateboarding, all of those scenes really encourage active involvement from everyone. So it didn’t really feel like a difficult step to show my work, it was just that scene is about participation, so I participated. It felt very natural to present what you were doing to the community. Initially I was just part of group shows, but with the gallery I had the opportunity to visit so many artists studios, learn different techniques and help them finish works for their own shows. That I guess was the inspiration to focus more on making my own larger solo exhibitions, rather than just doing group shows for fun.

Deeper things can be read into the Peanuts series, but basically it’s about sampling. The way most of the 90s rap that I like based on samples of older music from other genres, mixing seemingly unrelated things into your own creation, so most of my work is a visual way to make art in the same was as 90s rap music production. Peanuts and 90s rap are both very close to me, and the combination just makes sense to me and feels genuine. It doesn’t work with other characters.

You moved to Tokyo in 2009. What did think about the Japanese art scene compared to the one in Australia, the US or Europe?

– I’d been to Japan in 2002, and 2007 on vacation. At first I wanted to open a branch of China Heights in Tokyo, but at that time it definitely would not have been successful. Most Japanese artists I’ve met are very serious about their artmaking, that’s not the problem – but the general public are no where near as financially supportive as they are in the other countries you mentioned. A 20 year old kid might buy a painting in Australia, but at that time I couldn’t imagine that happening here. And that’s what it takes for the scene to grow. Things have been slowly changing over my time here, thankfully.

You’ve been seeing the Japanese art scene since 2009, anything has changed in a good way since street art is getting a lot of attention from art collectors.

– Yes, definitely it’s begun to change for the better. Spaces like Voilld, Wishless, SO, WAG, Clear Edition, Goya Curtain, Sidecore and the boom in zine culture etc are helping educate people about owning art, that it doesn’t have to be so exclusive and only for a certain level of society. Plus support from companies like Beams promotes the idea of regular people having art in their lives, not just fashion. The interest from collectors is obviously a good thing, but I’ve never been too deep in that world, always been making art for myself and the community we’ve been talking about. I’m honored to have several large Japanese collectors purchase my work, but if their attention helps regular people take an interest in hanging a painting or print in their home, that’s the best thing about that. That’s what keeps these galleries alive, and encourages future generations to physically continue with our scene, not just on the internet. Of course the general public aren’t responsible for maintaining an artists income, but I want more people to consider owning artwork if they genuinely feel connected to it, rather than just posting a photo and forgetting about it. The artworks I see every day in my own home by Cleon Peterson, Kyle Montgomery, Barry McGee, Taku Obata, Tohru Matsushita etc, really give me a boost, whether I stop to look at them again or just glance over as I walk by. There is something special to having art in your life.

Tell us about your new show. What can we expect?

– 90s rap with an underlying sense of humour. Even if you don’t quite understand the references, I think it’s still a fun show to visit. The current show at Clear Edition (Roppongi) is on until May 20.

What inspires you when you create now?

– Music. The same thing that brought me into this scene. Probably the exact same music too, KRS-One, Beastie Boys, Public Enemy etc. But specifically here in Tokyo, I‘m forced to interpret a lot of what I see and hear in my own way. That kind of mental exercise helps with my own creative practice.

What do you like to do when you are not making art works.

– I love riding a bicycle around Tokyo. I lived quite far out for the last 5 years, but recently moved to a much more central area. I’m fortunate that art is my only “job”, and while I’m very dedicated to that, I still have a lot of time to just take in Tokyo life, and watching what happens here from a local’s (but still very much an outsider) point of view. The lifestyle of “hanging out” is great in Tokyo. It’s just a fun and comfortable place to be. But I sometimes wonder if that’s a major concern with art sales here – it’s great to be outdoors, in the park or visit an art opening with your crew, but almost no time is spent socializing with your friends in the home…

Any upcoming projects?

– Always! 😉 @markchronic is the best place for that kind of info…

 

Text & Photo by Atsuko “Akko” Matsuda

writer:
Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/party-tokyo/atelier506.jp/public_html/wp-content/themes/atelier/single-interview.php on line 28
Atelier506