NANZUKAと2Gにて田名網敬一の新作個展「記憶の修築」を同時開催
2020.07.03
©Keiichi Tanaami
Courtesy of NANZUKA
東京都渋谷区のギャラリーNANZUKAが、田名網敬一の新作個展「記憶の修築」を開催する。この個展は7月4日より渋谷パルコ2F 2G内のNANZUKA 2Gにて、また11日よりNANAZUKAにて同時期開催される。
本展は、幼少期に戦争を経験した田名網敬一自身の記憶と創作活動のメカニズムを視覚的に暗喩した展覧会のシリーズとなり、箱庭的な立体作品、大作のコラージュ作品、ミクストメディアのペインティングと多岐にわたる新作が発表される。一見すると奇怪でありながらもポップな妖怪画のように見える田名網敬一の近作だが、そこに描かれているのはアーティストの実体験に基づき、時に夢を媒介として修築された様々な記憶だ。例えば、今回田名網敬一が新たに描いたペインティングには、1938年にアーニー・ブッシュミラーによって発表され、日本でも戦後の朝日新聞で紹介されて人気を博したアメリカンコミック『Nancy』や、1966年に初放映された日本を代表する特撮ヒーロー『ウルトラマン』が、田名網が記録している戦時下の爆撃を想起させるシーンや田名網特有の奇形生物などと一緒に登場する。また、ペインティングと平行して精力的に制作を続けている大作のコラージュ作品には、アーティストが青年期に親しんだ20世紀中頃のアメリカの雑誌から引用したアメリカンコミックや往年のハリウッド女優の姿を発見することができる。
田名網敬一の作品が近年アート的に極めて重要であると再認識されている理由は、独創的なコミックスタイルの造形を武器にしたポップアートという点に留まらない。個人的に制作された作品であれ、雑誌やポスターなどに描き下ろしたコマーシャルワークであれ、その全貌が日本をフィルターとした戦後世界全体の社会文化史を物語っているからなのだ。
【プロフィール】
田名網敬一/Keiichi Tanaami
1936年東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業。1960 年代よりグラフィックデザイナーとして、映像作家として、そしてアーティストとして、メディアやジャンルに捕われず、むしろその境界を積極的に横断して創作を続け、その半世紀を優に超える活動の歴史と軌跡は、21世紀における新たなアーティスト像の模範として、世界中の若い世代のアーティストから絶大な支持を集めている。昨年には、adidas Originals とのコラボレーション「Adicolor x Tanaami」コレクションを発表。その精力的な創作活動の様子は、昨年4 月に放送された情熱大陸にも取り上げられ、大きな反響を呼んだ。また、昨年秋にリニューアルオープンしたNY 近代美術館(MoMA)にも作品が常設展示されるなど、戦後日本を代表するアーティストとして唯一無二の評価を受けている。世界中の著名美術館が、近年新たに田名網作品を収蔵している。
【開催概要】
タイトル:田名網敬一新作個展「記憶の修築」
会期①:2020年7月11日(土)~8月8日(土)11:00~19:00 ※休廊日:日曜日、月曜日、祝日
会場①:NANZUKA(東京都渋谷区渋谷2-17-3-B2F) ※コロナウィルス拡散防止の対策として、予告なく入場を制限する場合あり。
会期②:2020年7月4日(土)~7月26日(日)
会場②:NANZUKA 2G(渋谷区渋谷パルコ2F 2G内) ※営業時間は渋谷パルコの規定に準ずる。