障害のある表現者たちの未来を拓くアートアワード展、5月31日より大手町で開催
2025.05.26

「HERALBONY Art Prize 2025 Exhibition Presented by 東京建物|Brillia」が、を2025年5月31日(土)より、三井住友銀行東館 1F アース・ガーデンにて開催。HERALBONY Art Prizeは、「異彩を、 放て。」をミッションに、障害のイメージ変容と福祉を起点に新たな文化の創出を目指すヘラルボニーが2024年に創設。世界中の障害のある表現者を対象に、その創作の力を発表する場を提供し、キャリアの芽吹きを後押しすることを目的とした国際アートアワードだ。2回目となる今年は、65の国と地域から1,320名の作家が参加し、昨年を大きく上回る2,650作品の応募があった。その中から選ばれた、グランプリ、企業賞、審査員賞の受賞作品と、ファイナリストの作品を含む65作品を展示する。
■グランプリ作品 紹介

エヴリン・ポスティック(フランス) 「La Reine Charlotte (シャーロット王妃)」 画材:インク、海図 / サイズ:710×1180mm
作家プロフィール
線が絵に変わる──1989年、フランス・グルノーブルにて独学で絵画、彫刻、ドローイングを始める。線が絵へと変わる瞬間、彼女は日常から解放され夢をみる。そして、自由に形を創造することで開かれる無限の表現への可能性は、彼女の大きな力となるという。生物学、科学、民俗学への深い関心を持ち、“生命の進化”は、創作活動の中心的なテーマとなっている。昆虫や植物、動物など、自然界に存在する驚くべき形や色彩に着目しながら、人と植物、動物とを溶け合わせることで、豊かで多層的な世界を描き出している。長い時間をかけて緻密な点描を積み重ね、無数のディテールを描き込んでいくことで、作品に独特の深みをもたらしていく。キャンバス、トレーシングペーパー、古い海図や歴史を宿す古い紙など、多様な素材を用いることも彼女に新たな着想をもたらし、未知の旅へと導いている。
審査員コメント
エヴリン・ポスティックの「シャーロット王妃」(2021年)は、その際立った美しさと高い完成度が非常に印象に残る作品で、今回、見事グランプリを受賞した。カナダのブリティッシュコロンビア州の古地図上に描かれた本作には、海を漂う生物、あるいは地球外生命体ともとれるような形が表現されている。複雑な線が地形図と重なり、交差することで、モアレ模様のような視覚的効果を生み出しており、伝統的な版画やエッチング技法を想起させる。作家は羅針図など地図上の図像的要素を巧みに用いながら、異形のフォルムや画面空間を前面に際立たせ、自在に操っている。
ポスティックの作品世界には、不思議な生命体や動植物・微生物がうごめく、ひとつの成熟した美的・概念的宇宙が築かれている。そこに現れる生命体は、地図や図形、線、形が融合した存在で、さまよう魂のように漂っている。それらに大小のスケールはなく、大陸ほどの大きさにも、あるいは顕微鏡のスライドガラス上で押しつぶされた微小な存在にも見えるのだ。(ハリエット・サーモン)
受賞作品一覧はこちら:https://artprize.heralbony.jp/news/2025_winners/
【開催概要】
タイトル:「HERALBONY Art Prize 2025 Exhibition Presented by 東京建物|Brillia」
会期:2025年5月31日(土)〜 6月14日(土)
会場:三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン(東京都千代田区丸の内1-3-2)
時間:10:00~18:00
料金:入場無料
特設サイト:https://artprize.heralbony.jp/
■出展作家一覧(61名 / 50音順)
Aot/蒼山大士/諒霧ゆう/アーネスト・コンプタ・リナス(スペイン)/apipo/アマンダ・アンジェラ・ソエノコ(インドネシア)/あゆみ/アルバ・プリド(スペイン)/生田梨奈子/E.D・アデゴケ(ナイジェリア)/ウェン・ジエ・チン(マレーシア)/内園明日美/エヴリン・ポスティック(フランス)/奥亀屋一慶/金澤洋輝/久保田彩香/古城貴博/小谷野圭子/さくらゆき/サヨ・ワタナベ(アメリカ)/ジェラルド・ピルナー(ドイツ)/下坂卓也/シュリー・カント・ドゥベイ(インド)/Shun/ジョセフィン・トルーマン(オーストラリア)/シルヤ・コーン(ドイツ)/セレスティン・トーマス(イギリス)/たか トリケラ/タマちゃん/デイビッド・クルーガー(アメリカ)/ティム・ストーン(アメリカ)/哲士/デュア・サミール(アラブ首長国連邦)/トリスタン・ボルトン(イギリス)/鳥山シュウ/ニックス・ミア(アメリカ)/のんのん/服部大将/パトリシア・ガスパール(カナダ)/パトリック・ジーグル(ドイツ)/パンカジ・シャルマ(インド)/ピーター・ヴォス=クヌーデ(デンマーク)/平地晴翔/藤田望人/冬絶/ホアン・パニェル・フェルナンデス・デ・リェンクレス(スペイン)/ポーリーヌ・ストップ(ドイツ)/星拓実/ボレッテ・リリエロス・ルンド(デンマーク)/前田貴/マシュー・アラビー(ニュージーランド)/三原俊弘/宮下幸士/ムバヴァレロ・ネカヴァムベ(南アフリカ)/森宮杏子/柳哲也/吉川真美/龍弓士/Ray/和田陽光/わんちゃ
■展示作品の作家の在住国(50音順)
アメリカ、アラブ首長国連邦、イギリス、インド、インドネシア、オーストラリア、カナダ、スペイン、デンマーク、ドイツ、ナイジェリア、日本、ニュージーランド、フランス、マレーシア、南アフリカ
【株式会社ヘラルボニー概要】
「異彩を、 放て。」をミッションに、障害のイメージ変容と福祉を起点に新たな文化の創出を目指すクリエイティブカンパニー。障害のある作家が描く2,000点以上のアート作品をIPライセンスとして管理し、正当なロイヤリティを支払うことで持続可能なビジネスモデルを構築。自社ブランド「HERALBONY」の運営をはじめ、企業との共創やクリエイティブを通じた企画・プロデュース、社員研修プログラムを提供するほか、国際アートアワード「HERALBONY Art Prize」の主催など、アートを軸に多角的な事業を展開しています。2024年9月より海外初の子会社としてフランス・パリに「HERALBONY EUROPE」を設立。