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使い古しの「こけし」と「そろばんの珠」を素材として使用。Haroshiの個展「ABACO」が9月12日より開催

2025.09.08

東京都在住のアーティスト ハロシによる個展「ABACO」が、2025年9月12日(金)よりNANZUKA UNDERGROUND にて開催。

NANZUKAのメインギャラリーにおいて3度目となる新作個展の本展では、人々に必要とされなくなり、中古市場で安価で取引されているこけしとそろばんの珠をモチーフにした新作彫刻を制作、完成した作品を一堂に会したインスタレーションを発表する。現代の私達がその価値を忘れつつある素材に着目した背景には、ハロシが長い年月をかけて独自の視点で探求を重ねてきた日本の土着文化への関心がある。万物に神の存在を見出そうとする日本人の美意識が生み出した道祖神(お地蔵様など)とGUZOとの関係性はその一例で、打ち捨てられたものへの尊敬や愛情もまたハロシの作品の重要な文脈の一つだ。こうした流れからも、今回ハロシがこけしとそろばんをモチフとして選んだことは自然な流れだと言える。

■アーティストステートメント
ハロシの作品のコンセプトは救済にあります。それは使い終わったスケートボードであったり、ソフビであったり、打ち捨てられ、忘れられていくものを救い、新たな進化のかたちを創造していくことです。2003年にこの活動を始めた当初の私たちのコンセプトはこの活動を世界的なものにして、スケートボードをリサイクルしてものを作る人を増やして、捨てられるスケートボードを無くそうということでした。今はもう、私たちのことを知らないでスケートボードからものづくりをする人が世界中に溢れています。
そんな時、私はこけしに出会ったのです。こけしはソフビなどの石油製品のおもちゃが誕生するまでは子供のお供の一つでありました。ですがその存在はバービーやソフビなどに取って代わられ、今では一部の愛好家のみが収集する工芸品になっています。中でも古くなって真っ赤に日焼けしたこけしたちは行き場もなく、リサイクルショップや骨董市で格安で売られていたわけです。
傷だらけのこけしが投げ売りされているのを見た時に、飽きられて捨てられたトイストーリーズのバズ・ライトイヤーを思い出しました。その時、彼らのためになにかできるのではないか?と思ったのです。
古くなったこけしを彫刻している時に、3Dプリンタのことを調べる機会がありました。私のやってきたことと3Dプリンタのようなテクノロジーの最先端の技術との対極さが面白いなと思った時に、コンピュータが計算をするという行為をアナログに表現してみてはどうだろうと思いました。そこで古くなり使われなくなったそろばんの収集が始まりました。そろばんにはコンピュータのようにテクノロジーのアップデートはありません。ですが、使い込まれたそろばんには膨大な回数の計算をこなした記憶が、その飴色に変わったそろばん球には刻み込まれています。そろばんで装飾されたこけしは、計算することによってあらゆる物事を理解し、作り出そうとしている我々人間の歴史を象徴しています。
なぜかここ数年、日本を旅する機会が増え、日本の文化を見直す経験を多くしました。ずっとアメリカの文化に魅了されてきた私にとって、自分の中に実はあった日本的な部分にも向き合うことができました。今回は全て純国産の素材と向き合うことになったのも、そんな経験があったからかもしれません。
宇宙に果てがないように、私たちの体の中にも宇宙のように果てない奥行きがあるのです。私たちが理解できる範囲を果てなのではないかといっているだけで、我々の外側にも、内側にも実際はそんなものはないかもしれません。
ーー ハロシ


【プロフィール】

ハロシ(Haroshi)は、2003年より独学で習得した技法を駆使し、スケートボードデッキの廃材を用いた作品を制作。ストリートブランドHUFとのコラボレーションや、世界有数のスケートボード大会BATBのトロフィー制作などを通じて、現代ストリートシーンを象徴するアーティストの一人として支持を集めてきました。2018年にはArt Basel Miami BeachのNovaセクターにて個展形式の展示を行い、現代アートでの国際的認知度も高めた。2019年から2020年にかけてはJeffrey Deitch NYおよびLAを巡回したグループ展「Tokyo Pop Underground」に参加。2022年には同Jeffrey Deitch NYにて個展「Dive into the Pit」を開催。2023年にはK11 MUSEA(香港)で開催されたグループ展「City As Studio」に参加するなど、国際的に高く評価されている。
Instagram: @haroshi
Artist Page: https://nanzuka.com/ja/artists/haroshi

 

【開催概要】

タイトル:ハロシ  ABACO

会期:2025年9月12日(金)〜1 1月9日(日)

会場:NANZUKA UNDERGROUND (東京都渋谷区神宮前3-30-10)

時間:11:00-19:00

休廊日:日曜・月曜

※Art Week Tokyo 期間中のみ営業時間変更
開催期間:2025年11月5日(水)〜9日(日)
営業時間:10:00-18:00

■オープニングレセプション
開催日時:9月12日(金)17:00-20:00