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小畑多丘によるドローイング作品を中心とした個展がアニエスベー ギャラリー ブティックにて開催

2025.11.18

小畑多丘による個展『MYMOVE-彫刻の逆のドローイング 彫刻を彫刻ではない方法で表現する』が、2026年1月25日(日)までアニエスベー ギャラリー ブティックにて開催。

B BOY(※1 )として培った身体感覚と動きの躍動を彫刻表現へと昇華させた「B-BOY」シリーズは、小畑の代表作として広く知られている。一方で、2011年以降はその探求をさらに発展させ、彫刻のためのスケッチから派生した彫刻としてのドローイングや、塗料を量として捉え、動かす行為そのものに彫刻的要素を見いだす絵画作品、置くことを前提としない彫刻としての写真、映像作品など、異なる表現領域へと実践の幅を広げ、「彫刻」という概念の拡張に挑んでいる。

国内では2年ぶりの個展となる本展では、ドローイング作品を中心に構成し、柱やガラス面、くぼみといったギャラリー空間の特徴的な構造を積極的に取り込みながら、小畑の彫刻的思考を空間全体へと展開する。

■アーティストステートメント
ブレイクダンスを出発点に、そのフリーズ(※2 )や身体の動きを具象の木彫として形にしてきました。彫刻を作るためにスケッチをたくさん描くのですが、スケッチは設計図であり、考えることであり、裸の思考の転写のようなもので、絵画として考えると弱い意識がありました。

2011年、スケッチから派生させた作品としてのドローイングを描き始めます。彫刻のためのスケッチに対し、彫刻の逆としてドローイングを考えるようになります。重力に従う具象の立体で、ひとつの作品に時間を掛け、完成に向けて作り込むのが彫刻だとすると、重力に捉われず抽象的な平面で、複数の作品を時間を掛けず、完成が見えないままノリで作るのがドローイング。スタディとしても機能します。

作品だけでなく行為自体も対の構造にすることが、彫刻の逆としてのドローイングだと考えています。しかしそれだけでは物足りず、彫刻の逆でありながらも、ドローイングにより彫刻的な要素を加えたいと思うようになります。

2019年、ドローイングを描く塗料の量をあらかじめ決めるという方法を思いつきます。塗料を量として捉えることはとても彫刻的だと思います。置いた紙の上に直接塗料を出し、それを描くというより、なくなるまでヘラで動かし続ける。塗料の塊は動かされ、形が変わり、薄くなり、紙にへばり付き、絵ということになる。形が私の動きを通じて動きながら平面になる瞬間でもあります。

彫刻は理想的な形や動きを時間を掛けて形に起こしますが、ドローイングは私自身の現実的な形や動きが、一瞬で私の轍のように紙に定着します。

動きの連続と反復を繰り返し、理想の形を直接的なアプローチのドローイングで追究し、スタディとしても描き続け蓄積させる。彫刻を彫刻ではない方法で表現する。それが、私のドローイングであり、私の特徴でもあると思っています。鑑賞者がドローイングを見て、なんとなく人体や動き、勢いを感じて、“なんかいいね”と思ってもらえたら嬉しいです。

※1 B BOYとは、ブレイクダンス(ブレイキン)をする人。
※2 フリーズ(Freeze)とは、ブレイクダンス(ブレイキン)の動きの一種で、「一瞬、時間を止めたように体の動きを静止させるポーズ」のこと。


【プロフィール】

小畑多丘
1980年埼玉県生まれ。2006年東京藝術大学美術学部彫刻学科卒業、08年同大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。「B-BOY(ブレイクダンサー)」の木彫を軸に、ドローイングや版画、写真、映像など平面作品の制作も行う。自らもB-BOYとして活躍し、1999年にヒップホップチーム「UNITYSELECTIONS」を結成。B-BOYの経験を生かし、その技術や躍動を取り入れ、台座のない木彫による人体と衣服の関係性や、「B-BOY」の彫刻を端緒に生まれる空間の変質を追求することで、緊張感と迫力にあふれる作品を展開している。
Instagram:@takuobata


【開催概要】

タイトル:MYMOVE-彫刻の逆のドローイング 彫刻を彫刻ではない方法で表現する

会期:2025年11月15日(土) – 2026年1月25日(日)

会場:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F)

時間:12:00 – 19:00

休廊日:月曜日(11月24日、1月12日除く) *冬季休廊 2025年12月27日(土)―2026年1月5日(月)