揺らぐ光と物質が知覚を更新する。高屋永遠の個展「Threshold of Emergence」が9月9日より開催
2026.09.07

高屋永遠の個展「Threshold of Emergence」が、2026年9月9日(水)よりTokyo International Galleryにて開催される。
精妙な色彩、複雑なマチエール、ゆらめくような独特の奥行き。高屋の絵画を構成するこうした特徴は、市販の絵の具や顔料にとどまらず、偏光パールや金属、CO2由来ポリマーといった特殊な光学的性質を持つ素材や、土・灰・鉱物など特定の土地に由来する素材から自作された色材を通じて実現されている。
多様な素材を重ね合わせるこうした実践の根底には、世界を自らの外側に独立して存在するものとしてではなく、身体と諸事物が互いに干渉し合うなかで、経験として立ち上がるものとして捉える視座があり、本展もまたその延長線上に位置付けられる。
そうした視座はとりわけ、多様な物質を素材として扱うようになって以降、より具体的な問いへと深まっている。近年、高屋の関心は、色彩そのものの表現から、色彩を生じさせる物質の振る舞いへと移行してきた。光、環境、視点、身体との関係のなかで、物質がいかに異なる相を現し、見る経験を変容させるのかが、現在の制作における中心的な問いとなっている。
イメージが固定されたものではなく、その都度異なる仕方で生成する現象である以上、鑑賞者の身体もまた、イメージ=世界が生起する場の一部を成している。作品の前に身体を置き、見る位置を変え、環境に身を委ねること。そうした経験は、この場においてのみ開かれるものだ。
Tokyo International Galleryの光と空間、身体、物質。これらが関わり合う中でどのような世界が立ち現れてくるのか。会場にてぜひご覧いただきたい。

■アーティストステートメント
私は、絵画を固定された像の表現としてではなく、光、物質、⾝体、環境の関係のなかで知覚が⽣成される場とし て捉えている。作品は⼀つのイメージを提⽰するのではなく、⾒る⾓度や距離、光の状態によって絶えず表情を変 え、その都度異なる現象として⽴ち現れる。粒⼦は光と⼲渉し、像は定着することなく揺らぎ続ける。そこでは、 「⾒る」という⾏為そのものが静かに問い直されている。
近年は、能登で採取した⼟や砂、珠洲焼の灰、鉱物など、⼟地の時間を含んだ素材を⽤いながら、偏光パールや⾦ 属素材といった光学的特性を持つ物質を重ね合わせて制作している。表⾯は湿度や光を受けて微細に変化し、近づ けば像は崩れ、離れることで再び⽴ち上がる。私の関⼼は、「主体が世界を認識し、表象する」という構造ではな く、世界が現れる条件を静かに調律し、主体を環境のなかへ再配置することにある。
作品は、⼀つの答えを⽰すためのものではなく、未だ定まりきらない場所として存在している。固定された視覚から離れ、知覚そのものが更新されていくような、新たな可能性を探っている。
ーー高屋 永遠

【プロフィール】
高屋永遠|たかや・とわ
1992年東京都生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校 Fine Art卒業。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員(2017–2019年)を経て、現在は東京を拠点に活動。
作品を固定された像の表現ではなく、光・物質・身体・環境、そして鑑賞者の動きが関わり合うなかで、知覚が生成される場として捉える。フィールドリサーチや共同研究を起点に、化粧品原料、土、地熱泥、鉱物、陶片・瓦片、CO₂由来ポリマーなどを用いて制作。物質に触れ、砕き、選り分け、重ねる反復的な身体行為を通して、粒径、重さ、吸収、透明性、反射など、それぞれの物質がもつ特性に応答しながら、光や見る位置によって像が立ち上がり、変容する条件を探究。
2022年より資生堂みらい開発研究所と、化粧品原料の光学特性と美術表現への応用に関する共同研究を実施。国内外のアートフェアや芸術祭に参加し、作品は立命館アジア太平洋大学をはじめ、企業および個人コレクションに収蔵されている。
2019年、アーティスト主導のアートプロジェクト「WHYNOT.TOKYO」を立ち上げ、主宰。2023年以降は、奥能登の珠洲焼作家への伴走型支援を起点に、作家や工芸従事者の暮らしと創作を支える長期的な文化復興に取り組む。その実践を基盤に、アート・クラフト・地域文化をつなぐ展覧会や対話の場を企画・実践し、異なる立場の対話から、文化をめぐる価値判断と創造の循環が生まれる条件を探究している
Instagram: @towatakaya
公式HP:https://towatakaya.com/

【開催概要】
タイトル:高屋永遠 個展 「Threshold of Emergence」
会期:2026年9月9日(水)〜 10月24日(土)
会場:Tokyo International Gallery (東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA ART COMPLEX II 2F)
開廊時間:10:00 — 19:00
休廊日:日曜・月曜・祝日
※火曜日は事前予約制(12:00 — 18:00)
展覧会URL: https://tokyointernationalgallery.co.jp/ja/exhibition/threshold-of-emergence-jp
観覧料:予約不要・入場無料
■オープニングレセプション
9月9日(水)18:00 — 21:00
■作家在廊予定日
9月9日(水)18:00〜21:00 オープニングレセプション・在廊
9月12日(土)13:00〜16:00 在廊
9月19日(土)13:00〜16:00 在廊
10月10日(土)13:00〜16:00 トーク・在廊
10月17日(土)13:00〜16:00 在廊
**在廊は予告なく変更になる場合がございます。最新の情報はsnsストーリーズをご確認ください。