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国内美術館所蔵のフランス美術が集結する「ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光」が、10月12日より宇都宮美術館で開催

2025.09.12

ジャン=フランソワ・ミレー《無原罪の聖母》1858年 山梨県立美術館

「ライシテからみるフランス美術ーー信仰の光と理性の光」が、20251012()より1221()まで宇都宮美術館にて開催する。

キリスト教の神の威光に支えられたブルボン王朝に終わりを告げ、新たな時代を照らす光を人間の理性に見出したフランス革命。その理想は恐怖政治へと陥り、多くの犠牲を生んだ末、安定した社会の実現に至ることはなかった。ナポレオンの時代を経て王政が復活し、社会は一定の秩序を取り戻す。しかしながら、その後も一つの問いがフランス社会に突きつけられ続けることになる。すなわち、フランスは「カトリック教会の長女」に戻るのか、あるいは「革命の娘」となるのか。社会を大きく二分するこの問いのもと、さまざまな思想や価値観が錯綜し、国家と宗教との関係性はマイノリティーの宗教をも巻き込みながら大きく揺れ動いていく。

こうしたうねりの中で、美術もまたその姿を変化させていく。絶対の指針が失われた時代に、何をどのように描けばよいのか。美術は何を映し出すのか。そして、美術を美術たらしめる「力」は、どこから生まれてくるのか。本展では、フランス革命から20世紀半ばへと至る時代に焦点を当て、優れた作品の数々を、それを生み出した信仰や社会の変化に沿って紹介する。民主主義社会の創設――すなわち人が人の力で社会を作り上げようと模索する時代に、人が作る物に宿る聖性の起源と行方を追いかけていく。

 

ルネ・マグリット《大家族》1963年 宇都宮美術館


■ライシテとは

ライシテは今日のフランス共和国の根幹となる重要概念の一つである。フランスの歴史と結びついた独特の政教分離のあり方で、国家は宗教から自律した考え方のもとで運営され、宗教的に中立な立場を取ることになる。市民は公的な場では宗教的な振る舞いを抑制することが求められるが、一方で、個人としていかなる宗教を信じることも信じないことも自由であることが保障される。さまざまなバックグラウンドを持つ人々が生活するフランス社会において、安心して共生することのできる社会の実現のための原則だと考えることもできるだろう。

クロード・モネ《ラ・ロシュ=ブロンの村(夕暮れの印象)》1889年 三重県立美術館


■みどころ

1. 国内美術館所蔵のフランス美術が集結。
有名作家の優品から知られざる作家の貴重作までを紹介。
ウジェーヌ・ドラクロワ、ジャン=フランソワ・ミレー、クロード・モネ、オーギュスト・ロダン、ジョルジュ・ビゴー、ジョルジュ・ルオー、マルク・シャガール、パブロ・ピカソといった有名作家の優れた作品が一堂に会する貴重な機会となる。同時に、アリ・シェフェール、ロドルフ・ブレスダン、リュック=オリヴィエ・メルソン、ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、ジョルジュ・デヴァリエール、エティエンヌ・ディネといった、その魅力が未だ十分に知られていない作家たちの印象的な作品も紹介。

2. 「ライシテ」をキーワードに、フランスの歴史、文化、 思想をおさらい。
現代の社会問題をより深く理解するための学びにもつながる。
「美術作品をただ目で楽しむだけではもの足りない、その歴史的・思想的な背景までしっかりと味わい尽くしたい!」という方にピッタリ。フランス革命から第二次世界大戦までの百数十年の歴史をたどりながら、そこに生きた人々の思いを感じる機会になるはずだ。
「ライシテ」をめぐって今日のフランスや世界で話題になっている事柄について、より深く知るまたとないチャンスにもなるだろう 。もちろん「ライシテなんて言葉、初めて聞いた」という多くの方々にとっても、これまでとはちがった角度から社会を眺めるための新しい視点を得ることにつながるはずだろう。

3. 宗教美術も多数出品。
世俗的な感覚・文脈にのせて紹介するため、新たな楽しみ方ができる。
「宗教画に興味はあるのだけれど、よくわからないことが多くて、いまいち楽しめないんだよな」という方に特におすすめの展覧会だ。作品が生まれてきた当時の歴史的・社会的な文脈に沿って作品を紹介するので、キリスト教に精通していない人でも存分に楽しめる。同時代の人たちの様々な社会的立場を想像しながら、「もしも自分が当時の教皇だったら、こんな絵は許せない!」とか、「当時の共和派だったら、こういう作品に熱狂しただろうな」と、人々の受けとめを想像してみては。

 

ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ《愛国(習作)》1893年頃 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館


【開催概要】

タイトル:ライシテからみるフランス美術ーー信仰の光と理性の光

会期:20251012()20251221()

会場:宇都宮美術館(栃木県宇都宮市長岡町1077)

時間:9:3017:00 (最終入館時間 16:30)

休館日:月曜日、10月14日(火)、 11月4日(火)、 11月25日(火)ただし1013日(月・祝)、 113日(月・祝)、 1124日(月・休)は開館

観覧料:一般 1,200円(960円)/ 大学生・高校生 1000円(800円)/ 中学校・小学生 800円(640円)
※( )内は 20名以上の団体割引料金
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者(1名)は無料。
※宇都宮市在学または在住の高校生以下は無料。宮っ子の誓いカードまたは学生証をご提示ください。※11月3日(月・祝)「文化の日」は宇都宮市民は観覧無料です。ご来館の際は住所が確認できる身分証明書をご提示ください。
※毎月第 3 日曜日(10月19日、11月16日、12月21日)は「家庭の日」です。高校生以下の方を含むご家族が来館された場合、企画展観覧料が一般・大学生は半額、高校生以下は無料となります。

TEL:028-643-0100